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落合博満がまさかの「(松井は)ヘタ」発言…松井秀喜が明かした“3年間だけの師弟関係”「落合さんにはボロカス言われましたから(笑)」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2023/06/28 11:01
1953年生まれの落合と1974年生まれの松井。約20歳の歳の差がある“師弟関係”だった
「まあ、年々不細工に、ヘタになっていますね」
メジャーの動くボールにいかに対応していくか? 重く飛ばないボールをどうやって遠くに飛ばすか? そんな日々の戦いの中で、松井の打撃フォームも日本時代からは大きく様変わりしている。そんな姿に落合が発したメッセージが、この「ヘタ」発言だったわけだ。
「そうそう! 言ってた、言ってた!!(落合に)言われていることは何年経っても変わってないじゃんって(笑)」
そうして落合からダメ出しを食った今のフォームを、松井はこんな風に説明する。
「見た目は変わったと思うけど、やろうとしている意図は、落合さんと話をしていた頃と変わっていないと思う。自分の意識が変わったのは確か。それはメジャーに来てどうやったら対応できるかと考えた末に、少しずつ変わってきたんだと思う。でもやろうとしていることは一緒。根本は変わらない」
そして今でも落合とのたった3年間の“師弟関係”を、松井は忘れることができない。
「落合さんは、凄いと思う。ただ、落合さんと同じようにイメージしてやると、みんな分からなくなるんじゃないかなって思うんですよ。みんな体つきだとか骨格も違う。やろうとしていることは一緒でも形が違うのは当然なんです。だから僕は落合さんと同じように打とうとは思わなかった。その代わり、言われたことを自分なりに取り入れたという感じですよね」
東京會館でのファーストコンタクトから、早いものでもう16年余の月日が過ぎていった。
その間に松井は海を渡ってメジャーに挑み、落合は指導者として巨人の最大のライバルを率いている。
立場こそ変わったが、それでもまだ、松井にとって落合とは、数少ない理にかなったバットマンと認める打撃人なのである。
<#1から続く>