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巨人・坂本勇人34歳に忍びよる影「あと何日間かください」原監督の”打診”ともう一つの選択肢「勇人を中心にしたチームだよ」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/07/09 11:01
7月7日に今季3度目の離脱をした巨人・坂本勇人
一塁手の守備負担が少ないと言われたのは今や昔の話。そうした一塁手ならではの細かな動きに加え、右投げ左打ちの打者が増え、打球処理という面でももはや三塁手に匹敵する守備機会もある。肉体的な負担軽減だけを考えるなら、スローイングがしっかりしている坂本の場合は一塁より三塁という選択肢の方が理には適っていることになる。
問題があるとすれば昨年、念願だった三塁手としてのゴールデン・グラブ賞も獲得した岡本のプライドかもしれない。ただ、岡本は一塁守備の経験もあり、その難しさは逆に岡本自身が一番、知っているはずだ。しかも守備コーチ時代の井端さんにマンツーマンで鍛えられたことから、一塁手としてもかなり上手い部類に入るという評価もあり、本人にはその自負もある。
もちろんここ数年、三塁手としての守備力向上を目標に掲げて取り組んできたことへのこだわりはあるかもしれない。ただ、それでも一塁に回るための土壌は岡本には確実にある。
コンバートを受け入れざるを得ないのか?
これから数シーズン先を見越して坂本の出場機会を最大限に増やすためなら、ダブルコンバートは決して選択肢にない話ではない。むしろだからこそ現実的に練習も始まったということなのだろう。
巨人がこの10年以上に渡ってリーグ内で常に上位を争ってきた背景には、最も過酷なショートのポジションに坂本という球界を代表するプレーヤーがどっかりと座り続けてきたというアドバンテージがあった。
そのアドバンテージを失うことになるのだから、なかなかコンバートという現実に向き合えずにきたのも確かだった。
しかし時は迫ってきている。
今年の12月で34歳。宮本さんや鳥谷さんに比べるとまだまだ若い気もするし、あと最低でも3年くらいはショート・坂本の姿を見続けたいと願う気持ちもある。
ただ、過酷なプロの世界でショートのレギュラーとしてほぼほぼ出場しながらの15年というキャリアは、宮本さんや鳥谷さんを上回る年月だ。
このコンバートを受け入れざるを得ないという気持ちもまた、同じ心の中にある。
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