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巨人・坂本勇人34歳に忍びよる影「あと何日間かください」原監督の”打診”ともう一つの選択肢「勇人を中心にしたチームだよ」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/07/09 11:01
7月7日に今季3度目の離脱をした巨人・坂本勇人
巨人・坂本にもコンバートの影がヒタヒタと…
巨人・坂本勇人内野手は、高校卒業2年目から人工芝の東京ドームを本拠地にショートのレギュラーを張り続けてきた。フル稼働して今年で15年目。その勤続疲労として持病になっている腰痛がある。ここ数年はコンバートの影がヒタヒタと忍び寄ってきていたが、いよいよそれが現実の問題となっている。
坂本は7月7日に腰痛のため一軍登録抹消となった。
「中途半端にベンチにいると我々も使ってしまうので、10日間というような時間を与えた方がいいんじゃないかと」
原辰徳監督は抹消の理由をこう説明した。
13・5ゲームと絶望的なゲーム差をつけられた中での首位ヤクルトとの3連戦の真っ只中での出来事だった。しかも1、2戦をとって、あわよくば3連勝で逆転への光を見出そうとした矢先のチームリーダーの戦線離脱である。そして坂本が登録抹消となった7日の第3戦は、案の定とも思える3対11の大敗だった。
「やっぱりこのチームは勇人を中心にしたチームだよ」
原監督がこう語っていたのは開幕して1カ月近くが経過した4月半ばのことだった。
坂本の離脱でヤクルトの独走を許すことに
今季の坂本は脇腹の故障で開幕戦を欠場。この時は原監督も長期離脱を覚悟したが、奇跡的な回復を見せて開幕3戦目となる中日戦で一軍登録。その復帰戦でいきなり4安打の活躍を見せると、チームも開幕ダッシュに成功し20勝1番乗りも果たした。
ところが快調に飛ばしてきたチームに暗雲がたち込めたのもまた、坂本の離脱が原因だった。
4月30日の阪神戦で右膝内側側副靭帯を痛めて、5月1日に登録を抹消された。そしてこの阪神戦前まで29試合を20勝9敗の成績で首位を走っていたチームは、そこから急転落。この阪神3連戦で3連敗を喫すると、坂本が戦線復帰する6月9日までの34試合を14勝20敗と大きく負け越して、ヤクルトの独走を許すことになってしまった。
坂本がいると、いないとでは有形無形にチームに与える影響が大きい。だからこそいかに坂本が試合に出場し続けられる環境を作れるかは、本人はもちろんだが、チームとしての差配が命題となっている。だからこそ開幕欠場を含めた今季3度の戦線離脱という現実に、コンバートはいよいよ目の前に迫る課題となるのである。