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「球団で仕事もらえるかな」クビ前提で話し合う選手たち…「育成のホークス」が抱える“枠が少なすぎて一軍に上がれない”問題
posted2022/07/09 06:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Sankei Shimbun
一軍だけで18人の選手、コーチ、スタッフに新型コロナウイルス陽性者が出てしまったソフトバンク。6月25日以降に感染者が続出し、29日・ロッテ戦(PayPayドーム)と7月1日・西武戦(ベルーナドーム)の計2試合が中止となった。
2日の試合から再開にこぎつけたものの多数の主力選手に陽性者が出たことで、ファームから大幅に選手を補充する必要があった。
その中で球団は、育成選手だった中村亮太(24歳)を支配下登録して一軍に昇格させた。中村亮は東農大北海道オホーツクキャンパスから2020年育成ドラフト8位で入団した2年目の右腕。最速154キロの直球とシンカーを武器に高い奪三振能力を誇る。今季ウエスタン・リーグではリリーフ専門で27試合に登板、1勝1敗、防御率2.45、奪三振率11.57を記録して、小久保裕紀二軍監督からも「一番安心して見ていられるピッチャー」と高く評価されていた。
一軍救援陣は28戦登板で防御率0点台の藤井皓哉、同1点台の嘉弥真(かやま)新也、さらに6月17日の試合で自己最速を更新する160キロをマークした甲斐野央が陽性判定のため離脱。その穴埋めを期待されたというわけだ。
ただ、中村亮の登録が内定した直後にもう一人、育成枠から昇格候補に名前が挙がった選手がいたのだ。
7年目・黒瀬はチームに欠けた“右の主砲”だったが…
黒瀬健太24歳。
高校通算97本塁打の右の強打者。そんな破格の実績を引っ提げてプロ入りした男は今季7年目を迎えている。和歌山の初芝橋本高校からドラフト5位で入団。当初は「背番号61」だった。しかし、一軍出場を果たせずウエスタン・リーグでも打率1割台のシーズンが続いたことで、3年目のオフに戦力外通告を受けて育成で再契約に。現在に至るまで「背番号126」を背負う。