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「エディーが注目した高校3年生」は、なぜ“遠回り”したのか? 久しぶりのラグビー代表戦で27歳山沢拓也と26歳梶村祐介が輝いた理由
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byAtsushi Kondo
posted2022/06/29 06:00
ウルグアイ戦で43-7で快勝に貢献したSO山沢拓也。司令塔としてゲームを統率した
そして22年。山沢と梶村は日本代表に戻ってきた。「気持ちとしては初キャップ」という山沢の言葉に従うなら、山沢は27歳、梶村は26歳で実質的なテストキャリアを積み始めたわけだ。同年代の世界のトップ選手はすでにW杯をはじめ世界の舞台を多く経験している。サンゴリアスでプレーしたダミアン・マッケンジーは95年4月生まれの27歳。梶村と同い年ですでにオールブラックス40キャップを数える。フランス代表SHアントワーヌ・デュポンはさらに1歳若い25歳で33キャップ。昨年のワールドラグビー世界最優秀選手を受賞している。世界基準に照らせば、山沢と梶村の「デビュー」は遅い。
だが、経験値はテストマッチだけがすべてではあるまい。
12年、ジュニアジャパンで臨んだトンガ戦で辛酸を嘗めた山沢について、エディーは言っていた。
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「いい経験になったね。良いプレーがたくさんあった。スキルは素晴らしい。パスもキャッチも本当に上手だし、ビジョンがいい。あとはもう少しフィジカルの強さが欲しいけどね」
そして翌年、合宿に呼んだ梶村について。
「U19の試合で良いランニングをしていたし、体もできている。骨格がしっかりしている。ラグビーの細かい技術についてはまだまだ勉強が必要だけど、ナチュラルなセンスがあるし、練習に臨む姿勢もポジティブ。初めて一緒になる選手ばかりの中でも応用力をみせていたし、いい目を持っている。自分の中に自信があるんだね」
日本代表の主将を務めていた廣瀬俊朗も梶村についてこう言っていた。
「これが高校生? とびっくりした(笑)。メンタルで物怖じしない。これが、これからの若い選手のスタンダードになっていったら嬉しいね」
23年W杯ではイングランドと対戦
足りないところがたくさんあったことは確かだろう。克服するための取り組みには試行錯誤もあった。その間に、目指す日本代表のレベルも上がり続けた。それでも、エディーが蒔いた種は芽吹き、多くのコーチや仲間やライバルたちと切磋琢磨を重ね、9年、10年という時間で太い根と幹を育て、より高くなったステージでも輝ける大輪の花を咲かせようとしている。
来年のW杯では、そのエディーが率いるイングランドとプール戦で対戦することが決まっている。あの日の高校生たちに、恩返しのチャンスが待っている。
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