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「失敗を恐れるな」チェイス・アンリ18歳に響くNBAレジェンドの名言…「U-21経由シュツットガルト」で遠藤航、伊藤洋輝に続け
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byVictor Fraile/AFLO
posted2022/06/22 06:00
U-23アジアカップを戦ったチェイス・アンリ。ブンデスリーガの舞台に立てるかの戦いがすぐに始まる
U-23サウジアラビア代表との第2戦では藤田譲瑠チマ、山本理仁の2ボランチのサポートを受け、落ち着いたビルドアップを披露する。U-23韓国代表との準々決勝では逆サイドのウイングにロングフィードを送るようになり、U-21ウズベキスタン代表との準決勝では中盤のスペースで浮いたフリーの選手にやわらかいパスを届けられるようになった。
その瞬間、記者席からも思わず「おおっ」と感嘆の声があがるほど。技術もさることながら、遠くのフリーの選手を見つける視野の広さも素晴らしく、プレッシャーを掛けられて焦っていた初戦の姿はどこにもなかった。
お目付け役・藤田が語るチェイス評とは
キャプテンの藤田はポジションが近いことから、チェイスのお目付け役のようなところがある。
初戦のUAE戦では、藤田がチェイスに呼びかける場面が何度か見られた。
「彼の性格上、良くなかったことが起きたときに、集中できなくなってしまうようなところが見受けられて。違う世界に行ってしまうというか、ブツブツひとりで言う時間帯があるので、そうならないように引き戻そうと」
だが、第2戦以降は「もう特に何も言ってないですよ」と藤田は明かした。チェイスが試合を重ねるごとに成長していったからだ。チェイス自身も言う。
「最初は怖かったし、けっこう怒られていたんですけど(苦笑)、自分もどんどん成長してからはあまり言われなくなったので、その辺はよかったです」
劇的な成長の陰には謙虚に学ぶ姿勢がある。
3月に参加したドバイカップでは、センターバックとしてコンビを組む西尾隆矢から守備の仕方を貪欲に学んだ。西尾が辞退することになった今大会前には「あの人が来られなくなって残念。いろいろ質問したかったんですけど。あの人の分まで頑張りたいと思っています」と語っていたが、大会期間中は「譲瑠くんに聞けば、なんでも教えてくれる」とやはり学びの姿勢を崩さなかった。
ウズベキスタン戦で感じた「反省と楽しさ」
U-23オーストラリア代表との3位決定戦はサブに回ったチェイスにとって、0-2で敗れたU-21ウズベキスタン代表との準決勝が今大会のラストゲームとなった。
60分に奪われた先制点は、チェイスがインターセプトに失敗し、相手と入れ替わられた流れから生まれた。2失点目はパートナーの馬場晴也が相手のワンツーで置き去りにされたが、チェイスにはカバーに走るだけの余力が残っていなかった。