「最後のほうは足がきつくなって、ほぼ体が動かない状態だった。FWに対して1枚行くことができなくて、すごく反省ですね。自分のせいで失点したんですけど、自分にとって一生忘れられないゲームになりました。自分も楽しかったので。これからもっともっと強くならないといけないなって思いました」

　初戦後のようにうなだれる風でもなく、清々しい表情だった。

　U-23オーストラリア代表との3位決定戦の翌日、チェイスは課題を突きつけられながら、自信となった今大会を振り返った。

「初戦はプロになって初めての試合だったので、非常に難しかった。でも、あの試合を経験したことで、その後は怖がらずにやれてよかったと思います。ミスを恐れても意味がない。トライし続けないと成長もしない。やはりメンタルが大事だなと思いました」

韓国戦のチェイス　©AFC

コービーやレブロンの名言集で気持ちを奮い立たせて

　失敗を恐れていると、おそらく失敗する。

　これは、アメリカで過ごした小学生時代にバスケットボールに打ち込んでいたチェイスが敬愛する、元NBA選手のコービー・ブライアントの教えだ。

　試合前はいつも、コービーが不遇の時代を乗り越えていく映像を見たり、コービーやレブロン・ジェームズの名言集を読んだりして、気持ちを奮い立たせるという。

「自分の好きなバスケの選手がミスしてミスしてミスして成功する映像を見て、そういうところから、ミスを恐れて怖がっちゃダメだって学びましたね」

　初戦の試合中のことだ。記者席の前列に座っていた韓国のウェブ媒体の女性記者が振り向いて、チェイスのことを熱心に訊ねてきた。どうやら、チェイスの記事を書きたいようだ。試合後の会見でも大岩監督にチェイスの質問をするほどの熱の入れようだった。決して好パフォーマンスではなかったが、何かを感じ取ったのだろう。

　とんでもないポテンシャルを持ったセンターバックが、日本に現われた――。

　おそらく翌日、そんな記事が掲載されたに違いない。

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