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「ブラジル5-1で韓国を蹴散らす」衝撃の内実 ネイマールらの状態は70~80%なのに…フィジカル負けにソン・フンミンも白旗
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2022/06/04 17:02
韓国を蹴散らすかのように5ゴールを挙げて圧勝したブラジル。やはり、強い
チアゴ・シウバのクリアがウィジョの左足に当たって跳ね返ってきた幸運(韓国にとって)もあったが、見事な同点ゴール。スタンドは大騒ぎになった。
同点にされて以降、再びペースを上げる恐ろしさ
しかし、ブラジル選手は慌てなかった。再びペースを上げて決定機を作ると、38分、アレックス・サンドロがペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。ネイマールが落ち着いて決めて2-1とした。
後半も、ブラジルのペース。8分、またしてもアレックス・サンドロが倒されてPKを獲得し、キッカーは再びネイマール。今度もGKを動かしておいてから、コロコロシュートを流し込んだ。
1-3となって韓国選手の気持ちが切れたのか、以後はさらに一方的な展開となった。
25分以降、ブラジルは控え選手を次々と投入するが、「何としてもポジションを奪いたい」、「W杯出場メンバー入りを確定したい」と意欲を燃やす彼らのモチベーションは先発メンバー以上だった。
35分にMFコウチーニョ(アストン・ビラ)が見事なミドルシュートを叩き込むと、後半アディショナルタイムにもガブリエル・ジェズス(マンチェスター・シティ)が右サイドから侵入し、3人を次々と抜き去ってファーサイドへ蹴り込んだ。
得点シーンを含め、ブラジルが11度の決定機を作ったのに対して韓国は3度。GKキム・スンギュの再三の好守がなければ、5失点では済まなかったはずだ。
両チームには、技術、フィジカル能力、戦術、戦う姿勢などすべてにおいて大きな差があった。ゴールを決められる度に韓国選手がうなだれる姿は、日本との対戦ではほとんど見ることがない。試合後、韓国のエース、ソン・フンミン(トッテナム所属。今季のプレミアリーグ得点王)も「世界の壁を感じた」と実力差を認めるしかなかった。
「強くて逞しい」韓国がフィジカル負けする衝撃
日本のフットボール関係者、メディアやファンの韓国代表に対するイメージは、「屈強で身体能力が高く、常に凄まじい闘志でプレーする極めて手強い相手」というものではないか。
韓国スーパーリーグが発足したのは1983年で、Jリーグより10年早い。1986年以降、W杯に今年の大会を含めて10大会連続で出場する(日本は1998年以降、7大会連続出場)。日本の韓国との通算成績は15勝23分42敗で、大きく負け越している。それでもJリーグ開幕以降は大きく差が縮まり、2010年以降は4勝2分4敗と互角の戦いを演じている。
とはいえ、「簡単に勝てる相手」というイメージを持っている日本人はいないだろう。