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「ブラジル5-1で韓国を蹴散らす」衝撃の内実 ネイマールらの状態は70~80%なのに…フィジカル負けにソン・フンミンも白旗
posted2022/06/04 17:02
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Getty Images
6月2日夜、ソウル・ワールドカップ(W杯)スタジアムで行なわれた韓国対ブラジルの結果と試合内容は、韓国のみならず日本、そしてアジアのフットボール関係者、メディア、ファンに衝撃を与えたのではないか。
ブラジル代表は20時間以上の長旅、CL決勝に出た選手も
ブラジル代表の一行は、20時間以上の長旅の末、5月26日、インチョン空港へ到着した。ブラジルとの時差は、地球上でこれ以上はありえない12時間。選手の大半は、欧州でのシーズンを終えて母国ブラジルで休暇を過ごしていた。また、5月28日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝(レアル・マドリー対リバプール)に出場した5選手がソウル郊外の宿舎に入ったのは、31日のことだった。
それでも、欧州CL決勝出場組からMFカゼミーロ(レアル・マドリー)が先発し、FWビニシウス(レアル・マドリー)とMFファビーニョ(リバプール)が途中出場した(ブラジル選手のスタミナは人間離れしている)。また、試合前のチーム練習で右足の甲を打撲したネイマール(パリ・サンジェルマン)も、先発メンバーに名を連ねた。
選手たちの総体的なコンディションは、せいぜい70~80%だったはず。不十分な体調を補うものは、5カ月後のW杯で優勝を目指す熱い気持ちだけだろう。
一方、韓国の先発メンバーにはKリーグでプレーする選手が6人おり、Jクラブ在籍の選手も1人。コンディションは、セレソンよりはるかに良かったはずだ。
完全アウェーでアジアの虎を圧倒した
この試合は「2002年W杯20周年記念試合」と銘打たれ、スタンドは6万5000人の大観衆で赤く染まった。
このような完全アウェーの状況で、セレソンは「アジアの虎」を圧倒した。
立ち上がりから速いパス回しで中盤を支配し、前半8分、早々と先制する。
左SBアレックス・サンドロ(ユベントス)がスピードに乗ったドリブルでDF2人を抜き去って低いクロスを入れ、MFフレッジ(マンチェスター・ユナイテッド)が左足でダイレクトシュート。これをゴール前にいたCFリシャルリソン(エバートン)が咄嗟にコースを変えると、韓国のGKキム・スンギュ(柏レイソル)は対応できなかった。
その後もブラジルが優勢だったが、25分頃から疲れのせいか動きが鈍くなった(普段の試合では、こんなことはありえない)。31分、韓国は右サイドへ展開。ゴールを背にしてパスを受けたFWファン・ウィジョ(ボルドー)がCBチアゴ・シウバ(チェルシー)のマークをかいくぐって反転し、ファーサイドに蹴り込んだ。