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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「CL決勝の痛恨ミスで誹謗中傷・殺害予告された守護神」カリウス28歳のリバプール退団… それでもクロップがずっと信頼した理由
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2022/06/12 11:01
17-18シーズンのCLファイナルで致命的なエラーをしたカリウス。かつての守護神は今……
直後のシーズンオフ中に、リバプールはローマからアリソン・ベッカーの獲得を発表。移籍金は当時ゴールキーパー史上最高額の6250万ユーロ(約81億円)と伝えられた。
精神的に快適ではないであろう状態で、強力なライバルが出現。引き続きリバプールでプレーするよう説得を試みたクロップ監督に対して、移籍を申し出たのはカリウスのほうだった。
何かとレアル戦に結び付けて「またミスを犯した」と
2018年の8月にトルコのベシクタシュと2年間のローン移籍で契約。公式戦67戦に出場して、印象的なビッグセーブを連発するなどチームの信頼を得ていたが、時折見せたミスが人々の目に留まると、何かとレアル戦に結び付けて「またミスを犯した」と報じられた。
昨シーズンに母国のウニオン・ベルリンにローンで加入するも公式戦5試合の出場にとどまると、今季は所属元のリバプールで過ごした――しかし扱いは5番手だった。
「カリウスは何も間違っていないし、状態も良くてトレーニングも頑張っている。彼は献身的で、GKコーチたちも献身的だ。でも(序列は)シーズンが始まる前に決めたことだからね」(今年1月、クロップ監督)
17-18シーズンのジョーダン・ヘンダーソンのインタビューで、チームプレーや規律を重んじるリバプールらしさが垣間見えた。
「(敗戦は)彼やミスの問題ではなく、チームとしての問題だ。チームとしてここに来て、チームとして負けた。みんな一緒なんだ」
カリウスのミス「で」負けたのではなく、責任はチーム全員で背負う。敗戦直後で生気を失ったような口調ながら、主将はそうはっきりと言い切ったのである。
確かに大舞台でミスを犯した事実は変わらないが
ゴールキーパーはポジション柄、活躍よりもミスが見出しになりやすいものだ。
確かに大舞台でミスを犯した事実は変わらない。しかし同時に、かつてブンデスリーガを代表する若手有望株であったことも、リバプールで数々のピンチを防いできた過去も変わらないのだ。
なにより、CL決勝に進むまでゴールマウスを守り続けてきた男だ。
その実力は本物なのである。
9日、リバプールはカリウスの退団を発表。6月30日の契約満了に伴ってチームを去ることが決まった。次にプレーするクラブでは伸び伸びとプレーし、またナイスセーブを見せてくれることに期待したい。
あのファイナルから4年。ロリス・カリウスは現在28歳。彼の復活を諦めるにはまだ、早すぎる。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。