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ヤクルト&オリックスが抱える“不安”…鳥谷敬は今季のプロ野球をどう見るか? ビッグボス日ハムには「対応していく方も、力が必要」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byWataru Sato
posted2022/03/25 11:09
昨シーズンをもって現役を引退した鳥谷敬氏。セ・パ両リーグ経験者のレジェンドに今シーズンの展望を語ってもらった
「先発で言えば藤浪(晋太郎)投手だと思います。阪神のリリーフ陣を考えたとき、若い選手はたくさんいるのですが、確実に計算できる存在は岩崎(優)投手だけなんです。ケラー投手がはまれば問題はないのでしょうが、来日1年目から抑えでフル回転するというのは非常に難しいこと。そういう意味で、先発が8回まで投げて岩崎投手で締める、という形ができればベストですし、その流れを作れるという意味でもイニングをこなせる投手はかなり重要になってくる。藤浪投手は球数をこなせる体の力がありますし、経験もある。後ろの不安要素を補うという意味でも、ポイントになる選手かなと思います」
「ショートを固定することに期待するよりは…」
鳥谷氏といえば現役時代は遊撃手で歴代2位となる1777試合に出場。ゴールデン・グラブ賞も5度(うち三塁手で1度)受賞した名手でもある。気になる阪神の遊撃争いはどのように見ているのか。
「昨年は中野拓夢選手が123試合、遊撃で先発出場しましたが、今季は足の不安を抱えているということで、少し難しいのかなという気がしています。一番足を使うポジションですし、体力もいる。特に甲子園球場は天候や土の変化によって毎日違う状態に対応していかなければいけないので、ショートのポジションで長く出続けるというのは非常に難しいことなんです。自分はレギュラーで守っていた間に4、5回骨折をしていますけど、それでも出続けるという選択をし、なおかつ首脳陣も他の選手が出るより自分を、という選択をしてくれた。
特にデータがより詳細に出てくる昨今では、数字で判断される面もあるのでレギュラーで出続けるのはさらに難しくなっている。守備が重要視されるポジションであるがため、数字が落ちてきたらそれを持っている選手に変えよう、というスタイルになっていますからね。そういう意味では、ショートを固定することに期待するよりは、野手に関しては“4番・サード”を軸に考える方がいいのかな、と思います」
「4番・サード」と言えば、往年の阪神ファンにはまず、「ミスタータイガース」掛布雅之氏が思い浮かぶだろう。昨季の雪辱を果たすため、そして常勝チームになるためにはこの「4番・サード」こそキーポイントだと鳥谷氏は話す。