プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「アバラが浮くほどガリガリだった」旗揚げシリーズから50年… 藤波辰爾68歳がリングで伝えた「猪木さん」への思いとプロレス愛
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/03/06 11:03
左から棚橋弘至、藤波辰爾、オカダ・カズチカ。新日本プロレスの新旧スターが50周年を祝う3月1日の『旗揚げ記念日』で共闘した
令和になっても藤波はリングに上がり続け、昨年には1971年の日本プロレスでのデビュー戦から数えて新日本プロレスより一足早くデビュー50周年を迎えた。コロナ禍で大幅に縮小されてしまった記念ツアーは今年も継続するという。
藤波辰爾、68歳の原点回帰「プロレスが好きなんです」
そんな藤波が3月1日、日本武道館のリングに立った。新日本プロレス50周年の『旗揚げ記念日』、藤波はオカダ・カズチカ、棚橋弘至とタッグを組んで、藤原喜明、鈴木みのる、ザック・セイバーJr.組と戦った。
ヒザ当てもヒジ当てもサポーターも一切付けずに、藤波はリングに立った。これが藤波のスタイルだ。68歳でこれだけの体を維持するのは大変なことだ。
「感無量ですね。何年経っても、レスラーを現役でやっている以上は、このドキドキする気持ちは大事だよね。2人(オカダと棚橋)に感化されて自分も動こうとしたんだけれど、足がもつれました。すごいね、やっぱり現役のチャンピオンは。この頼もしい2人が新日本プロレスを背負っていくでしょうし、我々もいろんな形でサポートしていきたいですね」
藤波は猪木の日本プロレス除名から新日本プロレス旗揚げという激動の時に、なにが起きているのかわからないまま、猪木についていった。それから50年の歳月が流れた。
「本当にスタートのことを考えたら、この50周年を、まさかね、自分がこういう形でリングに立てるとは夢にも思わなかった」
「プロレスが好きなんです」藤波はそう言った。
藤波が「猪木さん」とリングから呼びかけた。藤波が口にすると自然に聞こえる。今度は猪木と一緒に「ダァーッ」をやりたいという。藤波はたまに猪木に電話して、声を聞くとなぜか安心するらしい。里帰りでもした気持ちになれるのだろうか。
そのアントニオ猪木は2月に79歳になった。誕生日の後、筆者は久しぶりに猪木を訪ねた。燃える闘魂は、昨年よりも元気になっていた。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。