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「下着をハサミで切って、真っ裸にさせられ…」女子レスラー初の“オールヌード写真集”も、井上貴子のプロ意識「私にとっては“作品”です」《全女BEST》
posted2024/09/23 11:01
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph by
L)AFLO、R)Takuya Sugiyama
四半世紀もの長きにわたって、“売れるオンナ”であり続けた貴子が明かす、オールヌード写真集の撮影秘話、そして“プロ意識”の話。《NumberWebインタビュー第2回/#3に続く》
出過ぎた杭は打たれないことを知った。まだ20歳。現役女子プロレスラー初のオールヌードに挑戦したのは、23歳。その後は高水準を保つために模索、発案、挑戦、探求を重ねた。アイドルレスラーから写真集クイーンの座に就くまでに、時間はかからなかった。やがて、被写体でありながらセルフプロデューサーとしての才覚も見せはじめ、道なきところに道を創っていった。
◆◆◆
23歳で「オールヌード」に挑戦した理由
貴子 3冊目(94年10月刊行の「Vertige」)でオールヌードになって、4冊目(95年12月刊行の「Body Oil」)でヘアヌードになったんだよね。当時は写真集ブームで、きわどいところまで見えてるか・見えてないかくらいのものは、すでにみんながやっていたから、そこで勝負しても埋もれてしまう。ほぼマネージャーのかほちゃんの意見で(笑)、「一流のスタッフを用意するから、ヘアヌードをやったらどう?」ということになって、出版業界ではすでにヘアが解禁されていたので、やったんですよね。
――ためらいませんでしたか。
貴子 3冊目で「オールヌードは女子プロレスラー初ですよ」ってうたっておきながら、撮影現場では(アンダーヘアを)出してるわけだから、気持ちとしてはあまり変わらないというか。現場では真っ裸で撮ってたんで、あまり変わらないよね……みたいな感じではありました。
――批判の声を耳にしましたか。
貴子 直接はないです。陰では言われていたのかもしれないけど。ただ、このときって、全女のなかで獄門党(ブル中野を総帥としたヒールユニット)とジャングル・ジャック(アジャコング&バイソン木村らによるヒール)が全面戦争をやってたのね。その抗争に入る気はさらさらないし、そういう闘いをやりたくて全女に入ってきたわけでもないから、私は私のやり方で進んでいますという気持ちではあったけど、全女の人たちは、「全面戦争をやってるのに、あなたは何やってんの?」と思ってたでしょうね。口をきいてくれない選手はいましたし、まだ。
――全女内に敵はいても、写真集チームは味方だった。
貴子 うん。話してくださらなくて結構です、私にかかわらないでくださいというオーラも出してたしね、全女では。だから、「生意気」って言われてた。