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《師弟物語》小林陵侑が破った“葛西紀明のライバルたち”…NH50年ぶり金→師匠の男泣きに「まじっすか?」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byJMPA
posted2022/02/07 17:02
ジャンプ個人で24年ぶり金メダル獲得の小林陵侑。“レジェンド師匠”葛西紀明との秘話とは
「まだ金メダルがここにないので実感がないけど、(葛西に)かけますよ」と約束している。
小林の2本目のジャンプについて葛西は、「1本目はほぼ完璧なジャンプだった。タイミングも遅れはなかった。そして、一番緊張する、金メダルが懸かった最後のジャンプで、追い風の中、あそこまで飛距離を伸ばせるということは相当調子が良かったんだと思います」と賞賛する。
“50年前の2月6日”に笠谷が金メダル
小林の金メダルは、今大会の日本人第1号であり、1998年長野五輪ラージヒルの船木和喜以来、24年ぶり3人目となる個人金メダル。ノーマルヒルでの優勝は1972年札幌五輪70メートル級(現NH)の笠谷幸生以来、50年ぶりであり、また、2月6日は奇しくも笠谷の金を筆頭に日本が表彰台を独占した日でもあった。
初出場だった18年平昌五輪から4年。小林は、「前回のオリンピックで自分に足りないことが本当に分かった。ここでビッグパフォーマンスをできて、あらためて(平昌五輪が)自分を成長させてくれたなと思います」と言葉を噛みしめた。
葛西は「今思えばまだ伸びしろがある時期だったのだなと思う。この4年間で、よくこの無敵なジャンプを作り上げた」と目を細める。
11、12日にはラージヒルがある。その前には混合団体、後には男子の団体もある。
原田総監督「新しい時代の始まり」
長野五輪団体金メダリストの原田雅彦総監督は「新しい時代の始まり。長野、長野と言われるのはうれしいんだけど、われわれはそれを超える歴史を早くつくってもらいたかったので。それがもう、今は世界を日本が引っ張ろうとしている、そんな素晴しい金メダルだと思う」と称える。
魔物がいるという五輪で、小林は「僕が魔物でした」と軽やかに言った。無双の伝説が北京の地で今始まった。
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