「いまは喋りたくない」巨人・原監督がドラ1・3年目の“秘蔵っ子”堀田賢慎の“コメントを拒否”したワケ《松坂大輔はほめていたが…》

　スポーツ紙の駆け出し記者だった頃、キャンプのブルペンで巨人のV9時代のエース、堀内恒夫さんとピッチングを観る機会があった。

　そんなある日、誰だったのかは覚えていないが、その年入った一人のルーキー投手の球に目を引かれた。とにかく速い。横で投げている一軍の投手と比べても、球の力は負けないどころか、むしろ圧倒しているように見える。そこで堀内さんに思わずこんなことを口走ってしまったのである。

「凄いボール投げますね！　すぐ使えるんじゃないですかね？」

「だから素人はダメなんだよ」

　すると隣で微動だにしないでピッチングを観ていた堀内さんが、チラッと横目で冷ややかな視線を投げかけて、フンッと鼻で笑ってこう言ったのである。

「だから素人はダメなんだよ」

　もちろんこれは堀さん流の若手記者への“愛情表現”で、そこからじっくりブルペンでの投手の見方を教えてくれたのである。

「観てみろ。確かに球は速いし、力もある。でも10球、放ってこのピッチャーは何球、指にしっかりかかったボールを投げている？」

　確かに球は凄いが、そう言われてみると、高めの抜け気味の球がかなりある。ストライクゾーンのボールもほぼ打者のベルトの高さぐらいか、それより高めで、たまに低めにいけば引っ掛けたようにワンバウンドするケースも結構あった。

「確かにたまにいいボールはあるけど10球投げて1球か2球しか、しっかり指にかかった意志のあるボールがないだろ？　あとは高めの抜け球ばかりじゃないか。これじゃあ一軍で使えるようになるにはまだまだ時間はかかる」

　それじゃあどれくらいのレベルになれば一軍で活躍できるのだろうか？

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