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冨安健洋はプレミア最強マンCにとって「極めて厄介な存在」だった… 名将ペップも認めたアーセナルの成長とは

posted2022/01/06 17:04

 
冨安健洋はプレミア最強マンCにとって「極めて厄介な存在」だった… 名将ペップも認めたアーセナルの成長とは<Number Web> photograph by Getty Images

首位を走るシティ相手にハイパフォーマンスを見せた冨安。改めて不可欠な存在であることを証明した

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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「トミヤスが戻ってきた」

 1月1日に行われたアーセナル対マンチェスター・シティ戦の試合前、プレスルームではそんな声があちこちから聞こえてきた。

 キックオフのちょうど1時間前、記者室では先発メンバーを記したチームシートが配布される。シートを受け取った記者たちが口にしていたのが、冨安健洋の先発復帰についてだった。

「冨安が新型コロナウイルスの陽性反応で欠場する」と発表されたのは、12月26日のノリッチ戦。ただ陽性判明日については説明されず、1日のシティ戦の出場は不透明な状況にあった。

 もともと英政府が定めていた隔離期間は10日間だったが、国内でオミクロン株の感染が広がり、今や1日の新規感染者がゆうに10万人を突破する勢いを見せている。医療関係者や警察官などエッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちにも陽性による欠勤が相次いでいることから、英政府は医療機関と協議の上、先月22日に隔離期間を10日間から7日間に短縮すると発表した。陽性反応が出てから6日目と7日目に陰性反応が出れば、職場に復帰できるようになったのだ。

「戦力として冨安の復帰は極めて大きい」

 冨安の場合は先月18日のリーズ戦に出場したが、同26日のノリッチ戦をコロナ陽性反応で欠場した。この間に感染が判明したはずだ。逆算して考えると、おそらく感染が判明したのは19~24日あたりだったのだろう。かくして、冨安はシティとの大一番に間に合ったのである。

 英政府が隔離期間の短縮を発表していたことから、英メディアでも、冨安の早期復帰は特大のサプライズとはならず、冷静に受け止められていた。むしろ記者たちが口にしていたのは、「戦力として冨安の復帰は極めて大きい」(英紙サンデー・タイムズのジョナサン・ノースクロフト記者)といった「戦力面でのプラス効果」だ。

 根拠はスタッツが教えてくれる。英衛星放送スカイスポーツによると、冨安がコロナ陽性で離脱するまでにプレミアリーグでの「タックル数」「空中戦の勝利数」「デュエル勝利数」「ボールタッチ数」の4部門でクラブ1位の数値を叩き出しているのだ。

 守備では強靭なフィジカルを利して突破を許さず、攻撃面でも両足を器用に使ったスムーズなパス回しで貢献する。今や冨安はアーセナルにとって不可欠な存在であり、リーグ首位を快走するシティとの一戦で「日本代表の復帰は大きな押し上げとなる」(ノースクロフト記者)と位置づけられていた。

【次ページ】 冨安加入前のシティ戦は0-5の惨敗

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