先日出演したDAZNの元日本代表DF内田篤人の冠番組のなかでも、駒野とのエピソードについて触れ、10年南アW杯決勝トーナメント1回戦でパラグアイに敗れ8強入りを逃したのは「PKを外した駒野のせい」と言って笑いを誘っていた。

　もちろん、そんなことが言えるのは2人の長い付き合いがあってのことである。そのパラグアイ戦で駒野とともに先発していた松井。PK戦の直後、涙に暮れる駒野を自身も目を真っ赤にしながら、阿部と2人で支えていた姿がそのことを物語る。

10年W杯パラグアイ戦、PKを外した駒野を支える松井と阿部　©AFLO

　駒野をそんな風にイジることができるのは松井だけかもしれない。

「だから、日本国民を代表して僕が言っているんです。ただ、これはもう何回もいろいろなところで言ってきたネタで、（先日の番組で）そこが切り取られたのは久しぶり。僕もさすがにW杯の直後は言えませんでしたけどね」

「帰国してからも脅迫状が届いたり…」

　パラグアイ戦後の宿舎での駒野の様子も、松井はよく覚えている。

「試合のあと、食事もしたかどうかわからずに、ずっと下を向いている感じでした。大会が終わるといつもみんなでユニフォームに寄せ書きをしたりするんですが、そのときも駒野だけ来なくて……。それで僕は駒野の部屋までユニフォームを持って行って、『早く書け、バカ。いつまでも気にすんなっ！』って。でも、しばらくはウーンって元気なかったですけどね」

　その後の苦労も知っているだけに、自分がイジることで過去の辛い思い出を笑いに変え、駒野の負担を少しでも軽くできたらと思っているのだろう。

©Tomosuke Imai

「帰国してからも脅迫状が届いたり、自宅にパトカーが来たりして大変だったみたいです。奥さんや子どももいるわけですからね。身の危険を感じ、神社にお参りに行ったとも聞きました。気持ちが落ち着いたのは、W杯の数カ月後にパラグアイとの再戦があった頃だったみたいです（※10年9月、親善試合1－0で勝利。松井は先発、駒野は途中出場）。

　それでもアイツ、W杯のあとに『SMAP×SMAP』（フジテレビ）に出たり、プーマのCMでマスクかぶってパラメヒコマンとかやっていましたけどね。だから、会うたびに『なんでオマエがやってんだ！』『オマエの回がいちばん面白くない！』って突っ込んでやりました（笑）」

「嘉人とはホテルの部屋を行き来していました」

　10年の南アフリカW杯では、大会前にチームの調子が上がらずに直前にシステムやメンバーの変更があって、本大会では右サイドのアタッカーとして全4試合に先発した松井。左のアタッカーには大久保が起用され、松井と大久保の両サイドでの攻守に渡る献身的な動きがチームを勢いづけた。

　大久保は11月の引退会見で大粒の涙をこぼしたが、人前で泣いたのは南アフリカW杯のパラグアイ戦以来と話していた。松井はそんな大久保の様子をどう見たのだろうか。

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