「そのくらい気持ちが入っていたんですよね。嘉人はパラグアイ戦の前に『負ける気しねえな』って言っていましたから。結果的には駒野がPKを外して負けました（笑）。ただ、PK戦だったので、嘉人も負けた気がしないで次に進めなかったのが悔しかったんだと思います」

　高校時代からのライバルで、プロ入り後はともに切磋琢磨してきた大久保との共闘に感慨深い気持ちもあっただろう。

「南アのときは、嘉人とはホテルの部屋も近くて、よく部屋を行き来していました。大会が終わったあとも、一緒に飲みに行ったりしましたし。大会前は、僕も嘉人も『ボールくれ』ってタイプなので、お互いに『よく見ていてくれ』って言い合っていました。嘉人は試合が始まると熱くなって何も見えなくなっちゃうときがあって、たまに試合中に仲間にも暴言吐いてきますから。だから、南アのときも何度か『落ち着け』『冷静になれ』って言っていたと思います。もちろん、その熱さが嘉人のパワーになっていたと思うし、本当にすごいストライカーですけどね」

©Tomosuke Imai

「那須（大亮）を蹴落として行こうかなと」

　最近はインスタグラムやTikTokなどのSNSでも積極的に発信している松井。今年11月にはツイッターも始めている。

「やっと始めたところです。じつはこんどYouTubeを始めようと思っていて、拡散するにはツイッターがいいと聞いたので。TikTokは10代に人気なんですよね。YouTubeでは子どもにサッカーを教えられたらと考えていて、その準備の意味が大きいです」

　サッカー選手とYouTubeといえば、松井と鹿児島実業の同級生であり、Jリーグでも長く活躍した那須大亮（40歳）が有名だ。サッカー系YouTuberの第一人者として、那須のチャンネルは33万人を超える登録者数を誇っている。

「まずは目指せ、那須ですね。そして、那須を蹴落として行こうかなと。全部案件をいただき、那須を超えるとかではなく『那須、いままでありがとう。お疲れ』みたいな（笑）。それは冗談として、動画で子どもたちにサッカーを教えることができたらと思っているので、楽しみにしていてください」

　フットサル転向後はケガもあったが、いまは「もう大丈夫」とのこと。40歳になっても何事にも前向きで歩みを止めない松井大輔の今後も楽しみだ。

＜#1、#2から続く＞