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「自分がいらんことをした」エスパルス主将・権田修一が明かす、残留争いのなか当たってしまった“嫌な予感”
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/12/26 11:00
12月4日、最終節でセレッソ大阪に逆転勝ちでJ1残留を決めた清水エスパルス。キャプテンの権田がサポーターへの挨拶の場に立った
「チームメイトが守ってくれるんだから、信頼を置いておけばいいんです。そこから抜けてきたものに対処するのが役割なのに、あの試合は“自分が守る”というところに比重を置きすぎました。ボールに対して出られないことが多くなって、相手のリスタートもフリーでやられることが増えてきて“自分が何とかしなきゃ”という思いが強すぎた。だから、いらんことをした、と。普通にやればいいのにって。チームスポーツなんだから、やりすぎる必要はまったくないんです」
チームメイトへの信頼を胸に刻み直し、「いらんことをした」のは一日限りとした。平岡監督のもとで3試合で2勝1分け、この日もいつもの泰然自若で日本平のピッチに立った。
2-1とリードして攻勢を続けるなか、後半31分にはピンチを迎えた。
右サイド、坂元達裕の左足クロスに、中央で待っていた大久保嘉人がヘディングで合わせるも、権田が右手で枠の外に出した。チームを勇気づけるビッグセーブだった。
勝利が近づいていた。
実はこのとき権田は大きく感情を揺さぶられていた。
こみ上げる涙を一生懸命に抑えようとしていた。《つづく》
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