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「厳しいことが言える選手でいたい」守田英正26歳が語る“今、一番意識する”田中碧とサッカー日本代表の世代交代
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byGetty Images
posted2021/12/22 11:05
ポルトガルに渡って1年、チームの主軸としてプレーするMF守田英正。日本代表ではプレッシャーが懸かる試合で大役を担うなど、着実に存在感は増している
守田が所属するサンタクララは、人口15万人にも満たないサンミゲル島を本拠地とするクラブ。人口1000万人近い神奈川県に本拠地を置くJリーグのチャンピオンチームから、国内リーグで最高位が9位という中堅チームへと環境は一変した。
新たな場所での生活にはこれまでと異なる刺激を受けているが、当然、大変なことだって多い。衣食住の変化に加え、「毎回、アウェーの時に飛行機に乗って本土の空港からスタジアムまでバスで何時間もかけて行かないといけないし、移動の影響で試合の次の日のオフがなくなってしまうなんてことはよくある。コンディション維持は結構大変ですね」と苦労は絶えない。
それでも順応は早かった。娯楽も何もない島での生活はストレスを感じてもおかしくないが、守田にとっては「サッカーに集中できる環境」。デビュー戦でゴールを決められたこともチームにすんなり受け入れてもらえる要因になった。
「クラブ史上最高の6位」に貢献
プレー面でも多くのことがスムーズに運んだ。チームスタイルは川崎とは大きく違ったが、「学生の頃は上手い選手ではなく、バトルのところや走るところ、泥臭いところで頑張る選手だった。この国の重視するベースは、そういったところにあることはわかっていた」とトレーニングを重ねるごとに適応。プレー強度をリーグのレベルに合わせ、技術力や戦術眼で周りを助けるパフォーマンスを披露した。
すると、チームの成績も右肩上がり。昨シーズンはクラブ史上最高となる6位にチームを押し上げ、自身も日本代表にコンスタントに名を連ねるようになってきた。
今夏の時点でステップアップする移籍が実現すれば、全てがパーフェクトだったかもしれない。しかし、世界のサッカーを目の当たりにすることの大事さを学び、今までとは違った景色を見ることができているのは大きな進歩だと本人は語る。
「対人の部分では、守備側は引かないし、攻撃側はボールを持った時に前に仕掛けていく姿勢がすごくある。あとはエアバトルも強烈。フィジカル的な要素で言うと、日本より断然レベルが高くて、身体的能力や攻守の切り替えなどのゲーム間のスピードは全く比にならないくらい速いし強いと思います。
いろいろな国の選手と対峙することは代表でのプレーにもつながるところがあると思っています。ACLでさえ感じたんです。海外のチームとの差というか、あと一歩をものにされる怖さや隙を作った瞬間にやられてしまうような怖さというか。そこは海外に来て初めてわかる部分でもあります。百聞は一見に如かずじゃないですけど、そこは知らないと難しい部分ではあると思います」