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「厳しいことが言える選手でいたい」守田英正26歳が語る“今、一番意識する”田中碧とサッカー日本代表の世代交代
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byGetty Images
posted2021/12/22 11:05
ポルトガルに渡って1年、チームの主軸としてプレーするMF守田英正。日本代表ではプレッシャーが懸かる試合で大役を担うなど、着実に存在感は増している
さらに日本代表での出場機会が増えてきたことで、意識も変わってきた。チームを強くしていくために積極的に動いていきたいと力強く公言する。
「現在、最終予選は2位に上がり、自動的に出場権を得られるようになりました。1位を狙うのはもちろんですが、2位だとしても自力で勝ち上がれる位置にいることはすごく大事なことだと思っています。最初(初戦)のスタートが悪くて、状況が難しい中、結果だけを求めてやってきた。だけど、そろそろチームとしての形を作って、それに合わせて積み重ねていく、成長していくことが必要になってくる時期だなと思っています。だからこそ、チームを自分が変えていけるように、代表のことを思って厳しいことが言える選手でいたいなと考えています。ここから自分の本領を発揮できるのではないかと思いますね」
川崎時代から守田は現状から目を背けない選手だった。チームがうまくいっていない時には、仲間やメディアに対しても、「ここは改善すべき」とハッキリと言った。本音を隠さない性格ゆえに“批判”と捉えられることも多いが、それは守田が誰よりもチームのことを考えているからこその意見なのだ。
「表向きだけの顔とかはあまり好きではないので(笑)。それだとチームは一向に良くなっていかないと思っているんです。僕のキャラってなんなのと言われたときに、人に合わせたくないというのがそれだとしたら、ハッキリと思っていることを伝える方が自分らしさも出ると思っています。今の代表はそういう部分がまだまだ少ない。新しいことにチャレンジしていこうと思っていますし、もっと言っていきたいですね」
その言葉に説得力を持たせるためにも、自身のさらなる進化が必要なことも理解している。今季、所属クラブは国内リーグで下位に沈んでいる。日本代表でも少し出場機会が増えてきただけで、決して主力選手になれているわけではない。
「まだ結果を残せていない。代表でもたった数試合スタメンで出たくらいですから。僕の言葉に信憑性を持たすためには、自分がどんどん上に上がっていかないことには伝わっていかない。それは自分のせいだと思っているんです。だから、自分には結果が一番求められていると思います」
進む世代交代「期待を背負ってからがスタート」
いま、日本代表には東京五輪世代の多くがメンバー入りし始めている。田中だけでなく、MF三笘薫といった川崎の後輩たちも代表のユニフォームで躍動し、今後も下の世代の突き上げがあることは間違いない。
ただ、守田は彼らに期待を寄せつつも、「結果を残したこと自体は素晴らしいですが、大事なのはそれを残し続けることだったり、何かを背負い始めてからがスタートだと思う」と自覚を求め、さらに自身に対しても厳しい視線を向けた。
「僕はプロ1年目から代表に行かせてもらいましたけど、当時からスタメンを取るつもりでした。そういった勢いってすごく大事で、行き切らないとダメだなと思っています。周囲の期待を背負い始めてやっと評価されるというか、そこまで行ってやっと(本当の意味で)舞台に立てると思うんです。自分自身も、まだ結果を残し続けることができていないので、その段階にはいないと思っています。
選手としての価値は年齢が若ければ若いほど高いのは当然のこと。オリンピック組が上がってきて、次にパリ世代、下からどんどんいい選手が上がってくる中で、本当にアピールし続けないと代表に選ばれないと思う。ここからどれだけ示していけるかだと思います」
自身の存在価値を高め、クラブ、そして日本代表を強くする。かねてから「長渕剛さんの漢っぽい、暑苦しい歌が好きなんです」と力説する守田は、仲間たちに真っ直ぐな思いをぶつけ、熱きハートをチームにもたらしていく。