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「メッシであることに慣れているが、無名なら…と思ったことも」メッシが語る“幼なじみ妻”アントネラと日々のルーティーン
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/12/15 17:02
パリの自宅リビングで家族と7つのトロフィーとともに撮影に応じたメッシ
「そんなのわからないよ(笑)。僕は5~6歳のころからのプレースタイルを今も変えていない。もちろん進歩のための努力はずっとしているし、子供時代のスタイルに留まることに満足もしていない。ただ、それは神からの贈り物だと思っている。そこから最大限の可能性を引き出すのが僕の使命だ」
――多くの選手は高級車を乗り回したり外で騒いだり、社交的にイベントに参加したりします。でもあなたは家にいることを好み、家族との時間を大事にしてずっと同じ場所に留まっています。自分はサッカー選手としては「ちょっと変だ」と思いませんか?
「僕と同じような過ごし方をする選手も多いと思う。そう、僕は家にいるのが好きだ。自分の家が家族と僕にとって過ごしやすい場所であり、友人たちにとってもそうであるように努めている。それが僕を幸せにするし心地よさを感じる」
――ルーティーンはあなたに安心を与えますか?
「私生活でもプロとしての生活でも、ルーティーンや秩序が僕は好きだ。子供のころからそれらに慣れ親しんできた。今日、これだけのものを得ることができたのも、ルーティーンのおかげだと思っている」
「彼女は僕の人生に欠かせない」
――10代のころの恋人と結婚したサッカー選手も少ないです。アントネラはあなたにとって外部の世界から逃避できる存在なのでしょうか?
「彼女こそは僕の人生にとって、とてつもなく大きな存在だ。それは単に子供たちの母親だからではなく、僕がデビューしたときからずっと一緒だったからだ。彼女は僕のすべてを心から理解しているし、それぞれの場面で僕がどう振舞うかよくわかっている。とりわけ僕が悲しんだり、目的を達成できなくて落ち込んでいるときには。もちろん嬉しい時間も一緒に過ごした。3人の子供と同じで、彼女は僕の人生に欠かせない」
――今、アルゼンチンでは、ある言い回しが流行っています。「今日はメッシがプレーするから(仕事や約束は)できない」と。人々があなたに特別な目を向けていることを意識していますか?
「世界のあらゆる場所で僕がどう見られているかは意識している。これまで多くの場所を訪れて、大概は暖かい歓迎を受けた。最近ではアルゼンチンでも、タイトルを獲得して素晴らしいときを過ごすことができた(2021年7月10日、マラカナンで行われたコパアメリカ決勝でブラジルを1対0と破り、自身初となる代表の公式タイトルを獲得。アルゼンチンにとっても、1993年のコパアメリカ優勝以来の国際タイトル)」
――バルセロナやアルゼンチン代表での元同僚で、あなたの友人でもあるハビエル・マスチェラーノはこう言っています。「私はリオネル・メッシにはなれない。メッシであることに耐えられない。そうであるためには、特別な何かが必要だ」と。日々メッシであり続けるのは難しいですか?
「僕はこの34年間メッシであり続けていて、メッシであることに慣れている(微笑)。僕はこれまでの人生に満足している。たしかに家族や近しい人たちとの生活を守るために無名であったらと思うこともときどきあった。だが不満は何もない。逆に人々から挨拶され、微笑みながら一緒に写真を撮ってくれと言われるのはこのうえない喜びだ。そういう生活に慣れたし、僕にとってそれが日常になった。つまりすべてはうまくいっているということだ」
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