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同級生・風間八宏いわく「正義の味方」、岡田武史や古橋亨梧も魅了した情熱とアイデア…頑固な名将・大木武《J3熊本逆転昇格》
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/12/14 17:02
最終節で逆転優勝を果たし、ロアッソ熊本をJ2昇格に導いた大木武監督。試合後のセレモニーでは、涙を流しながら感謝の思いを述べた
昨シーズンはリーグ最多の56得点していながら順位は8位。それが今年はリーグ最少の20失点で、シーズン30戦してわずか4敗。この数字だけ聞くと「大木さんのチームらしくない」と思われるかもしれないが、実際にゲームを見れば「らしさ」であふれている。
誰かがアクションを起こすたび、次から次へと選手が連動する。スペースを埋めるのではなく、前線からプレッシングして、みずからの意志でボールを奪いにいく。
かつて大木監督が「ファッションは一瞬。スタイルは永遠」と言ったことがあったが、流行や風潮には左右されない、本質の部分を疎かにせず、最後の最後でライバルチームを振り切った。
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「もちろん戦術的には、京都のときも岐阜のときも。それに去年と今年の熊本でも、選手のフォーメーションなどのマイナーチェンジはしてきました。けど、結局のところ、私のやることですからね。基本的にやっていることは、これまでと変わっていません。
以前と変わったところですか? 優しくなったと思いますね。言葉使いは、できるだけ気をつけるようにしています。昔のままの言い方だと、いまの時代では通用しない部分がありますから(笑)」
“サッカーの神様”は、たしかにいるのだろう。
相手の年齢や性別を問わず、プロもアマも関係ない。訪れた悲しみや苦しみにも弱音を吐かず。1日も1分たりとも手を抜かずに、サッカーに打ち込んできた。そんな大木武のような指導者が、報われないわけがないからだ。
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