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同級生・風間八宏いわく「正義の味方」、岡田武史や古橋亨梧も魅了した情熱とアイデア…頑固な名将・大木武《J3熊本逆転昇格》
posted2021/12/14 17:02
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph by
J.LEAGUE
最終節に決着が持ち越された2021シーズンのJ3リーグは、3位のロアッソ熊本がFC岐阜に2対0で勝利して、逆転での劇的なJ2昇格、そしてJ3優勝となった。
今シーズンJ3最多となる1万1314人の観客が訪れたホーム・えがお健康スタジアム。タイムアップの瞬間は、右手を握るだけの小さなガッツポーズ。選手やスタッフたちの歓喜の輪が広がり水を掛け合う様子も、ピッチ脇から微笑ましげにながめていた大木武監督だった。
が、試合後のセレモニーで選手たちへの祝福と感謝を述べているうち、唐突に声を詰まらせた。
「やっぱり“サッカーの神様”はいるんだな。と、今日ハッキリ分かりました。これだけやった選手が報われないわけがない。もっと言えば、今日試合に出られた選手、ベンチに入れた選手は幸せです。今日ベンチに入れなかった選手、なかなか試合に絡めなかった選手、いろいろな選手がいます。でも、彼らは1日も、1分たりとも、手を抜かず練習に打ち込んでくれました。
今日の試合前にも、メンバーに入らない選手は朝9時から練習をしています。その練習を見てきました……。何と言っていいのか分からない。見ていて、そんな気持ちになりました。長く見ていられずに、すぐにロッカールームに入りました。そんな選手が、良い思いをしないわけがない」
なかには翌日に契約満了が発表される選手もいた。陽は当たらないかもしれない。それでも、なすべき努力をしたことは、しっかり認めて評価する。いかにも大木武らしい、涙の理由だった。
風間八宏「タケシを“正義の味方”と呼んでいた」
1961年、静岡県清水市(現・静岡市清水区)生まれ。少年時代から嘘や曲がったことが許せない性分だったようで、清水一中サッカー部の同級生だった風間八宏によると「当時の仲間うちでは、タケシのことを『正義の味方』と呼んでいた」とか。
現役時代のポジションは主に中盤。ドリブルでタッチライン際を突破するようなプレーを好んでいたという。JSL(日本サッカーリーグ)2部だった富士通サッカー部に所属、勤労部勤労課で仕事をしながらプレーした。