水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
《セルティックで11試合8ゴール》古橋亨梧が独占取材で明かした“ドリブラー”から“受け手”に変わった理由…「ゴールを決めない男」の覚醒とは?
posted2021/10/06 17:02
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph by
Getty Images
今もっともホットな存在として注目を集めるアタッカーに、元日本代表で解説者・水沼貴史氏が直撃した(全2回の前編/後編へ)
※インタビューは復帰を控えた9月27日に実施しました。
水沼 今日はよろしくお願いします!朝から取材を受けてくれてありがとう。練習はいつも何時から?
古橋 楽しみにしていました!午前練習はいつも10時半スタートで、だいたい9時ぐらいにはクラブハウスに行っています。朝ごはんを食べてから練習、という感じです。
水沼 クラブが用意してくれるんだ。さすがビッグですね(笑)。膝の負傷から復帰に向けて順調に回復していると聞いてとても安心しました。スコットランド生活は慣れましたか?
古橋 みんな親切な方ばかりですし、私生活も含めて僕がやりやすいようにサポートしてくれています。施設も大きくて綺麗で、充実しています。
水沼 それは心強いですね。言語はどう?
古橋 勉強中です。少しずつコミュニケーションは取れるようになった実感はありますが、まだ「何言ってんの?」という時も(笑)。知っている単語をぶつけて理解してもらえるように頑張っています。周囲の方々が本当にやさしく話しかけてくれるので、そこが救いです。
水沼 じゃチームに馴染むのも早かった? 試合映像を見てもチームに溶け込んでいる様子が伝わってきました。
古橋 最初は戸惑いもありました。日本から飛んで、ロンドンで10日間の隔離があったのですが、その隔離明けの次の日が試合で、しかもリーグの開幕戦(7月31日はハーツ戦)。なのに、いきなりベンチに入ると言われて……。まだ練習もしてなかったですし、チームメイトに会ったのも試合当日の昼飯のときが初めてでした(笑)。「あいつ誰だ?」と思われていると自分で考えすぎてしまったこともあって、とても緊張しました。
水沼 隔離期間はまともなトレーニングができなかったでしょうから、大変でしたね。
古橋 バイクを部屋に持ち込めたのはよかったですが……とにかく大変でした(笑)。あの日は、まだ試合までの流れもわからなかったですし、味方の名前を覚えるのも難しくて。とにかく1点、プレーで信頼を勝ち取らないといけないという思いが一層、強くなりました。
水沼 その思いが“スタートダッシュ”につながった?
古橋 どうですかね(笑)。開幕戦は自分でも「まさか」という感じでしたが、同時にそれだけ期待されていることが嬉しかったです。途中出場で何もできませんでしたが、次の試合(ヨーロッパリーグ予選3回戦、ヤブロネツ戦)ではスタメン出場して、ゴールを奪えました。心が晴れて、やっとスタートラインに立てた気持ちでした。