- #1
- #2
欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
キーマンは南野拓実と「大一番で持ってるレジェンド」オリジ “サラーとマネ不在のリバプール1月問題”の救世主となるか
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byMarco Luzzani/Getty Images
posted2021/12/14 17:20
CLミラン戦で喜ぶ南野拓実とオリジ。サラーやマネ不在の1月戦線こそ、彼らの力が必要となる
第15節ウォルバーハンプトン戦、リバプールは難敵相手に大いに苦しんでいた。
ボールポゼッションは68%対32%、シュートは17本対3本。打てども打てどもこじ開けられないゴール。「今日はそういう日なのだ」とファンも不本意ではあるがドロー決着を受け入れかけたその時だった。
94分、ディボク・オリジ。
ブーイングを打ち消そうと奮起するジョタもで、14試合13ゴールと恐怖すら感じるペースで得点を重ねるサラーでも揺らせないネットに突き刺したのは彼だった。
「夏の移籍マーケットでは彼に適切なオファーが届くだろうと考えていた」とユルゲン・クロップ監督が語った26歳のベルギー人FW。そんな今夏の放出候補のひとりだった選手が“また”リバプールの救世主になろうとは。
W杯にマージ―サイドダービーと大一番に強すぎるオリジ
とにかくこの男の活躍には中毒性がある。
オリジの名前が最初に世界中に知れ渡ったのは2014年のブラジル・ワールドカップ。当時リール(フランス)所属の19歳だった彼は、グループステージ第2戦のロシア戦で56分から途中出場した。
そしてスコアレスで迎えた87分、ベルギーに値千金の決勝ゴールをもたらしたのだ。オリジの「持ってる男ストーリー」はここから始まる。
初めてリバプールを救ったのは15-16シーズンの第16節ウェストブロムウィッチ戦。アンフィールドで格下相手に1点ビハインドという状況で79分から出場すると、96分に劇的な同点弾。強烈なミドルシュートが、ディフレクションによってコースが変わりゴールに吸い込まれた。これが彼のプレミアリーグ初ゴールである。
その後ヴォルフスブルク(ドイツ)へのローンを経て18-19シーズンにチームに戻ると、このシーズンで圧巻の活躍を見せた。
リーグ戦でいえば第14節のエバートン戦。フィルミーノに代わって投入されたあとの96分だ。ビルヒル・ファンダイクの高く上がったボレーシュートを、GKジョーダン・ピックフォードがキャッチミス。こぼれ球に詰めていたオリジが押し込んで、1-0の勝利に導いた。
ちなみに彼はマージーサイド・ダービーの舞台にめっぽう強く、翌シーズンのアンフィールドでの対戦でも先発出場し2ゴールを挙げている。
18-19シーズンは第37節ニューカッスル戦でもチームを救った。こちらも途中出場から迎えた2-2での86分、ジェルダン・シャキリのフリーキックに頭で合わせて決勝ゴール。チームはこのときマンチェスター・Cと1ポイントを争う白熱の優勝争いを展開しており、追う側のレッズにとってはまさに値千金の一撃となった。
バルサを奈落の底に突き落としたCLでの劇的ゴール
そしてこのシーズンでもっともファンが熱くなったのは、CL準決勝バルセロナとのセカンドレグだろう。