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「シティの小林薫」ことB・シウバが“最優秀主演賞”級の活躍 プレミアトップの勝率男が連覇達成のキーマンに
posted2021/12/14 17:01
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
ここイングランドでは、今年もデリバリー業界が忙しい師走を迎えている。コロナ禍で、再び規制が厳しくなり始めたためだ。
国内サッカー界の2021年はと言うと、去る12月1週目の第15節でタイトル防衛を狙うシティが首位に立った。だからではないが、「最も印象に残ったで賞」なる個人賞があるとしたら、シティの選手を受賞者に推したい。
とはいえ、それは移籍1年目の昨季に優勝の立役者となったルベン・ディアスではなく、移籍金1億ポンド(約150億円)で今季新加入したジャック・グリーリッシュでもない。シティ生活5年目を迎えた、ベルナルド・シウバだ。
攻撃的MFの人員整理対象と目されていた
実を言うと、モナコから加入した当初から印象的な選手ではあった。その理由は極めて個人的なもの。筆者は、人を見てすぐに「なんとなく○○似」と思ってしまう癖がある。例えば、この1年間のプレミアで最も成長が著しい若手の1人であるリース・ジェイムズ(チェルシー)は「ドレッドヘア仕様の岡崎慎司(カルタヘナ)」となる。B・シウバには俳優の小林薫さんのイメージを勝手に重ねていた。
古い話だが、まだ多感な10代の頃に観ていたテレビドラマ『ふぞろいの林檎たち』では、同氏が演じていた酒屋の店主キャラクターが、その弟という設定だった主人公より記憶に残っている。脇役でも、主役でも、全く異なる役柄でも観る者を魅了する名優。2021年のB・シウバを眺めながら、「やっぱり小林薫!」と感じずにはいられなかった。
昨季後半戦まで、B・シウバはシティの脇役だった。移籍の噂もあり、チームを率いるペップ・グアルディオラの口から「本人が望んでいる」と明かされもした。
トッテナムからハリー・ケインを獲得するために金銭と一緒に差し出されると予想され、アストンビラからグリーリッシュが引き抜かれると、攻撃的MFの人員整理対象と目された。
だが、B・シウバのパフォーマンス自体は高かった。前年12月後半から2カ月半近くに及んだリーグでの連勝中は、計15試合中14試合に先発。しかも、偽9番から中盤深部のプレーメイカーまで、さらには前線のアウトサイドでも3センターでも、左右を問わずにこなしながらリーグ優勝に貢献した。
今季の開幕戦もベンチだった
国内外4冠達成はチェルシーに阻止された。今年4月のFAカップ準決勝(0-1)では、B・シウバに出番は訪れなかった。このウェンブリー・スタジアムでの大一番に限らず、ベンチに座るB・シウバの姿は、グアルディオラの手元に揃う選手層の厚さを物語る。
5月のCL決勝では1時間強でベンチに下がっている。ボランチ抜きのスタメンが裏目に出たチームの修正策として、フェルナンジーニョ投入の犠牲となったB・シウバは、少々気の毒に思えた。