――ではサッカーの歴史のなかで、自分をどこに位置づけますか。用意されたディナーテーブルに、あなたは誰を招待しますか？

「何が言いたいのかよくわからないが……」

――あなたのテーブルに座るのは誰でしょうか？

「選手の比較は難しい。それぞれが異なる時代に異なるチームメイトとともにプレーしているからだ。それぞれが独自の歴史と物語を持ち、そこに矜持を抱いている。僕のテーブルはだから問題だらけになるだろう」

自分自身であれ。それが完璧なのだから

――あなたという人格はサッカーの世界に収まりきらないと思いますか？

「僕は僕でしかない。誰もが完璧でありたいと望み、そうなろうとしている。僕も常にこう自問している。『自分自身であれ。それが完璧なのだから』と。成功のために自分を変えることはないし、何のためにもそうすることはない。自分自身であり続け、何が起ころうとも変わらない。自分のプレーをしてチームを勝利に導く。それ以外のことはそんな自分自身が生み出していく。僕は有名になることを自分で選んだわけじゃないし、他にも……。あなたが『サッカーの枠をはみ出た』という意味がわからない。優れた選手である以上、そうなるのは仕事の一部でもある。つまり結果であるわけで、人々に知られるから有名になるわけだ」

――『枠をはみ出る』ではなく、あなたがピッチの外に出ているという……。

「ああ、それはピッチで何をしているかによる。言いたいのは人々の話題になっても、ピッチの上でよくなければ象徴的な存在にはなれない。単なる道化だ」

――しかしサッカー界には道化がたくさんいるのでは？

「たくさんいる、凄くたくさんいる」

――さきほどあなたは『完璧であること』と言いましたが……。

「（話を遮って）僕が言ったのは、人は誰も完璧であろうとして、自分の人格を作りあげようとしていることだ。自分自身であるとは、完璧な自分を保つことだ。先ほどあなたは、僕が過ちを犯すかどうか尋ねた。もちろん僕は過ちを犯す。だが、完璧だと感じている人間は、自分が過ちを犯すとは思っていない」

――そうですが、自分自身であることが完璧であるということですよね？

「僕はそう言った。それが完璧であると。でも僕は、完璧になろうとしたことはない。自分自身でありたいと単純に思っているだけだ。つまりそれが完璧であるわけだから。ただ、それは過ちを犯さないことを意味しない。僕は過ちを犯す」

＜#2に続く＞