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《南野拓実にとってはチャンス!?》アフリカ選手権開催で主力の離脱が…来年1月に最もダメージを受けるプレミアのクラブはどこか 

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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posted2021/12/10 17:01

《南野拓実にとってはチャンス!?》アフリカ選手権開催で主力の離脱が…来年1月に最もダメージを受けるプレミアのクラブはどこか<Number Web> photograph by Getty Images

エジプト代表のサラーとセネガル代表のマネ。リバプールは2人の得点源を1月に失うことになるかもしれない

サラとマネーの離脱で、クロップも手の施しようがない?

 しかし、大問題は前線だ。サラーとマネがいなくなるのだから、手の施しようがない。第15節終了現在でサラーは13ゴール、マネは7ゴール。リバプールの攻撃を支えている。

 怪我で戦線離脱中のロベルト・フィルミーノはクレバーで、ディオゴ・ジョタは動きの質が非常に高い。南野拓実もユルゲン・クロップ監督と同僚に信頼されているとはいえ、マネとサラーに匹敵するアタッカーではなく……いやいや、彼らと同等の選手が世界中のどこにいるというのだ。いたとしても、冬の市場で獲得できるはずがない。いつも陽気なクロップ監督も、両選手の離脱を思うと表情は暗くなるに違いない。

 また各国が名誉を懸けてアフリカ最強を決めるビッグイベントは、リーグ戦とは異なるモチベーションが刺激されて、プレー強度が増す。サラーとマネは徹底的にマークされ、厳しく、えげつないほどに削られるだろう。それにより、大怪我→長期欠場という最悪の事態が起きないとも限らない。

 アフリカの気候を踏まえれば、1月の開催は妥当だろう。しかし、シーズン中にビッグイベントを開催するとは、主催者側はいつものように配慮を欠いている。

2カ月近くも起用できない可能性も

 プレミアリーグは各クラブとも12月に7試合がスケジューリングされている。ヨーロッパのコンペティションに出場しているクラブは、さらに負担が増す。

 この過密日程で多くの選手が疲弊した後、アフリカ選手権で10試合近くも主力が戦列を離れ、彼らは大会終了後も新型コロナウイルスの問題で10日間ほど隔離される。

 したがってクラブは2カ月近くも、頼りになるエースを、想像力豊かなMFを、屈強のDFを、安定感あふれるGKを起用できないケースも考えられるのだ。

 個性豊かな選手が躍動するアフリカ選手権は、興味津々の大会ではある。だが、今回は開催時期を誤った。「コロナウイルスで2度も延期になったのだから仕方がない。来年の冬にカタールでワールドカップが開催されるので、日程的に22年1月しか空いていなかった」との言い訳が聞こえてきそうだ。

 ワールドカップありきの考え方を改めるべきではなかったのだろうか。新型コロナの対抗策が見当たらず、医療面で他地域に後れを取るアフリカで、このタイミングでビッグイベントを開催していいものだろうか。

 EURO2020も1年遅れで開催した。カタールの準備も進んでいない。

 アクシデントが起きてからでは遅い。

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