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迷走のトッテナムが辿り着いたコンテという最適解 競争を促す刺激的な毎日で“甘ちゃん体質”の払拭なるか
posted2021/11/16 17:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
あっちへ行ったり、こっちへ来たり。今夏のトッテナムは監督の人選で迷走が続いた。
4月にジョゼ・モウリーニョを解任し、ライアン・メイソンの暫定体制で昨シーズンを乗り切ったものの、後任がなかなか見つからなかった。
ヌーノはわずか4カ月でトッテナムを追われた
アントニオ・コンテは経済面で折り合いがつかなかった。パウロ・フォンセカとは合意間近まで迫っていたものの、交渉を担当していたファビオ・パラティチ(フットボールディレクター)がジェンナーロ・ガットゥーゾにも触手を伸ばしたため当然のように破談。その後ユルゲン・クリンスマン、ラルフ・ラングニック、グレアム・ポッターなど、自薦他薦を問わず多くの候補の名前が浮かんでは消え、消えては浮かんだ。
そして、ヌーノ・エスピリト・サントに着地する。
しかし彼は、一番手でも二番手でもなかった。彼しか残っていなかったのだ。要するに妥協の産物である。
こんな経緯でうまくいくはずがない。口数が少なく、コミュニケーション能力が決して高くないサントは、選手たちに冷たい印象を与え、双方の距離が拡がる。距離が拡がれば意思の疎通が図れず、連携が乏しくなる。
11月1日、ヌーノはわずか4カ月でトッテナムを追われた。
コンテの野心とトッテナムのオファーが一致
新監督はコンテだった。もともとは第一候補である。パラティチもダニエル・リービー会長もしてやったりの人選だ。
物別れに終わった夏の要因の経済的な相違も、クラブ側がある程度譲歩したに違いない。コンテはさまざまな条件が整わないかぎり、監督を受諾しないことでよく知られている。
また、コンテが興味を抱いていたマンチェスター・ユナイテッドがオーレ・グンナー・スールシャール監督をいつまで経っても解任しないため、シビレを切らしたのだろう。
「プレミアリーグに復帰するなら今しかない」
コンテの野心とトッテナムのオファーが一致した。