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シティ撃破のパレスで「ノリノリ」のコナー・ギャラガーは憧れのランパードを彷彿 ファンはレンタル中の21歳と「契約しろ!」と大合唱
posted2021/11/15 17:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
イングランド人が、ノリノリの心境を表わす英語に「buzzing」がある。気分が高揚し、居ても立ってもいられない状態のこと。開幕から3カ月が経った今季のプレミアリーグで、この表現が最も似合う選手の1人がクリスタルパレスのコナー・ギャラガーだ。
11月6日の第11節ウォルバーハンプトン戦(2-0)後、自ら「アイム・バズィング」と言った21歳のMFは、チェルシーからのレンタル移籍先で主軸となり、出場対象外だった契約元との開幕節を除いてリーグ戦10試合でスタメン入り。4ゴール2アシストと数字も残している。9月のトッテナム戦(3-0)とブライトン戦でPKをもたらした間接的貢献を含めれば、チームの全15得点の過半数に「絡んだ」と言える。
8、9月にクラブの月間最優秀選手賞を連続受賞
ロンドンの西から南東部への越境レンタル。クリスタルパレスのファンはデビュー戦の前半早々にシュートがポストを叩いた第2節ブレントフォード戦(0-0)からギャラガーを評価している。翌週のウェストハム戦(2-2)では2度の同点ゴールでしっかりとファンの心を掴み、8月と9月にクラブの月間最優秀選手賞を連続受賞した。
先のウルブズ戦、ホームゲームでの加入後初ゴールも目撃したセルハースト・パークの観衆からは、完全移籍での獲得をクラブに促す「サイン・ヒム・アップ!」のチャントが沸き起こった。
ギャラガーは、パトリック・ビエラ新体制下で生まれ変わるチームを象徴する選手でもある。
第11節終了時点で10位。昨季同時期の12位と大差ない。だが、センターハーフとしての現役時にアーセン・ベンゲル監督時代のアーセナルでワールドクラスの肩書きを手にし、引退後にはマンチェスター・シティの下部組織で指導者の道を歩み始めたビエラが率いるクリスタルパレスは、ベテランの多さと慎重な姿勢で知られた昨季までのチームとは違う。
ロイ・ホジソン前体制下の基本だった堅守の意識は持ち続けながら、前線からプレスをかける守備は能動的となり、後方から組み立てながら頭数も割く攻撃が勇気を感じさせるチームへと変わっている。
その新監督が「シティの本拠に乗り込むのであれば、まず守るべきときに守らなければ。我々にはそれが出来ていた。同時に訪れたチャンスを逃さないこと。それも出来ていた」と語ったのは、金星(2-0)を上げた第10節でのアウェイゲーム後だった。
最大のスポットライトは、ペップ・グアルディオラのシティを相手にウィルフリッド・ザハの偽9番起用も功を奏し、敵将が再来年に契約満了でシティを去った場合の後任候補としての信憑性を高めたビエラ自身に当たることになったかもしれない。