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ヤクルト高津“二軍監督”は予言していた「村上はとんでもない4番になる」3年前『高津プラン』に挙げた野手4人、投手4人の名前
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySankei Shimbun
posted2021/10/28 11:05
2年連続最下位から6年ぶりのリーグ優勝。胴上げされる高津臣吾監督
野手で名前が挙がったのは、村上宗隆、塩見泰隆、廣岡大志(現・巨人)、古賀優大ら。
投手では、高橋奎二、寺島成輝、原樹理らの甲子園でも活躍した面々だった。
特に村上の評価は著しく高かった。
「とんでもない4番になれる」
このシーズン、村上は二軍で打率.288、本塁打17本を放っているが(ちなみにイースタン・リーグの首位打者〔規定打席以上〕は巨人の松原聖弥の.316、最多本塁打は同じく巨人に所属し、今は楽天にいる和田恋の18本)、入団時からその育成方針は徹底していた。高津二軍監督は、
「村上は将来の4番。どんなに結果が出なかったとしても、ずっと4番に起用し続けるつもりだった」
と語り、じっと見守る姿勢を崩さなかった。
また、リーダーとしての帝王学も学ばせようとしていた。この年は青木宣親が二軍で調整を行っていた時期があり、二軍で青木と村上が交わっていたことで、2018年9月に村上が一軍に昇格した時にスムースな流れになったという。一軍戦をテレビで見て、二軍監督としても感慨深いものがあったと話す。
「一軍のダグアウトで、ノリ(青木)と村上が並んでいるのを見て、なんだかうれしかったな。それで村上が最初の試合でいきなりホームラン打った時は、『行った!』と叫んじゃってね(笑)。その後は苦労したけど、1年目に一軍を体験したことが、2年目の成長につながったのは間違いない」
一軍と二軍の連係が重要なのは、村上の育ったパターンを見ても分かる。
また、ポジションごとにも青写真がある。
今季は出場機会が増えた捕手の古賀については、
「古賀がどんなに打っても8番に据え置き。なぜなら、一軍に上がった時に必ず8番に入るから」
二軍は独立した組織ではなく、一軍でプレーするための準備をする場所という意図が明白だった。
村上、古賀、さらに塩見は高津二軍監督の下で成長した選手たちである。
6年目高橋奎二はなぜブレイクできた?
今季の優勝は、村上、山田哲人、さらにはオスナ、サンタナの両外国人の活躍など、「打」のイメージが強いかもしれないが、「投」についても、二軍の育成が今季になって花が開いたと見る。2018年の時点で高津二軍監督は、
「高橋奎二、寺島(成輝)、原樹理が先発の柱となって、ブルペンでは梅野雄吾が切り札にならないと未来はないでしょう」
と語っていた。