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「スケボー禁止!」「スケボー禁止!」14歳と19歳のスケボー女王を取材して痛感した《日本ではスケボーをやる場所がない》問題
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph byAtsushi Kondo
posted2021/10/25 17:03
今回取材した西矢椛14歳。松原中在学中。日本人女性として初の21世紀生まれの五輪金メダリストに。取材は大阪府松原市にあるスポーツパークまつばらで行った
「練習場が近くにあるから逆にダメになるって人もいますよ。いつでも練習できるから今日はいいや、って。要するに、そこは個人の問題です」
山崎さんの考えによれば、スケートボードはまだ「遊び」から「スポーツ」への過渡期。この先さまざまな変化、例えば必要な筋力のトレーニング、怪我のリハビリ、あるいは専属のコーチ、といった新たな要素はほぼ間違いなく登場することになるという。
「スポーツとしてのスケートボードで上を目指すなら、歯を食いしばらなきゃいけない時は絶対に来ます。遊びなら諦めるような技でも、それが競技となればやるしかないですからね。遊びとしてのスケートボードにももちろん魅力はあるけれど、個人的にはスポーツとして認められるのはいいことだと捉えています」
スポーツとして認められれば、競技人口はさらに増えるだろうし、まわりの理解も深まるだろう。そして、スケートボードを経験したことのある大人が増えれば、公園や歩道でトリックの練習に励むスケートボーダーへの大人たちの視線もきっと優しくなっていく。まあ、昔は自分もああだったからな、と。
「ここでのスケボーは禁止されてます!」
取材からほぼ1週間後、僕はナンバー本誌用の原稿を書き上げて、自宅から歩いて15分ほどのところにある海岸まで散歩する。海岸の手前にはものすごく広い公営の駐車場があって、季節外れの海を訪れる車はほとんどない。
そのだだっ広い空間を横切りながら、今からでもスケートボードに乗れるようになったら楽しいだろうな、と僕は考える。ここで練習すれば、誰にも迷惑はかけないしな、と。
数日後、地元の友人がこんな話を教えてくれる。
この間さ、あの駐車場でね、お父さんが小さな息子連れてスケボーの練習始めたら、係のおじさんがすっ飛んできて、ここはダメです! って叱られたんだって。おまけにそのおじさん、その後もう一回、今度は場内アナウンスで「ここでのスケボーは禁止されてます!」って、デカい声で叫んでたんだってさ。なんだかなーって感じだよね。
大丈夫。あと2、3回オリンピックでさくらともみじが金メダルとれば、そういうのもきっとなくなるさ。