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「スケボー禁止!」「スケボー禁止!」14歳と19歳のスケボー女王を取材して痛感した《日本ではスケボーをやる場所がない》問題
posted2021/10/25 17:03
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph by
Atsushi Kondo
2016年の8月、ブラジルのリオデジャネイロで開かれたIOC総会で、新たなオリンピック競技の一つとして、スケートボードが承認されたというニュースが流れた。
スケボーがオリンピック?
満場一致で下されたその決定に、首を捻った人、違和感を覚えた人は多かった(と思う)。
かくいう僕もその一人だった。
別にスケボーを子供の遊びだと思ってはいなかったし、他のスポーツと比べて下に見ていたわけでもない。公園や歩道で夜遅くまで滑り倒すスケーターたちに敵愾心を抱いたこともない(若者に偉そうに言えるほどちゃんとルールを守って生きてきたわけじゃないから)。
でも、スケボーとオリンピックという組み合わせはなんだかしっくりこなかった。
陸上だってある、体操だってある、サッカーだって、アーチェリーだって重量挙げだってある、なのになんで今更スケボーが必要なんだろう?
今になって考えてみると、たぶんあの違和感の理由は、ただ単に競技スポーツとしてのスケボーが僕にとっては新しすぎたことだった(もちろんIOCには別の事情もあったのだろうけれど)。
歳をとればとるほど、新しいものをさらりと受け入れるのは難しくなってゆく。
例えば2008年の夏、iPhoneという革新的なデバイスを手にした大人たちの多くは「こんなの特に必要ないよね」とクールに呟いていた。そして2021年の今、もうiPhoneなしでは生きられない人が世界中にごまんといる。
きっとスケボーも同じようなものなのだろう。
1940年代のアメリカで生まれたこの横乗り系スポーツは、大きく動き始めた新しい時代の中で、いつの間にか当たり前のものとして受け入れられてゆくのだと思う。
さくらともみじを巡る2泊3日の旅
そんなことを考えながら、2021年の10月上旬、二人の金メダリスト、四十住さくらと西矢椛が育った場所を、本人たちへのインタビューも兼ねて2泊3日で回ってきた(さくらともみじを巡る2泊3日の旅、なんだか園芸雑誌の取材みたいである)。
あらかじめ組まれた取材スケジュールには、彼女たちへのインタビューも入っていた。19歳と14歳、二人の年齢を足しても僕よりまだ20歳以上年下である。3歳児と猫の心を開くのはけっこう得意だけれど、思春期の女の子は難しい。インタビュー云々の前に、そもそも彼女たちとの会話そのものが成立するのだろうか?(まあ、なんとか成立した)