Number ExBACK NUMBER
「スケボー禁止!」「スケボー禁止!」14歳と19歳のスケボー女王を取材して痛感した《日本ではスケボーをやる場所がない》問題
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph byAtsushi Kondo
posted2021/10/25 17:03
今回取材した西矢椛14歳。松原中在学中。日本人女性として初の21世紀生まれの五輪金メダリストに。取材は大阪府松原市にあるスポーツパークまつばらで行った
訪れた場所は、四十住さくらの地元である和歌山県岩出市、西矢椛の地元である大阪府松原市、それから二人のスケーターにゆかりのある大阪府堺市と兵庫県神戸市の4カ所だ。
岩出? そもそも名前すら知らないし、もちろん和歌山県内のどのへんに位置するのかもわからない。
松原? 名前は聞いたことがあるけれど、こちらも具体的な位置はわからない(30年くらい前にバリ島で知り合った女の子がたしか松原の出身だった)。
そして堺。堺といえば仁徳天皇陵、あるいは千利休が思い浮かぶ。でも今回は古墳の発掘調査に来たわけでもなく、侘び茶のお稽古に来たわけでもない。あくまでも目的はスケボーである。
ちょっと寄り道して日本最大の前方後円墳を見学したかったけれど、堺市出身の同行編集者Pくんいわく、あんなもん横から見たらただのデカい林っすわ、と一言で却下された。
その堺で足を運んだのは、市の東部に位置する大泉緑地、そしてそこから南西に6キロほど下ったところにある原池公園である。
西矢椛“6歳”の原点
大泉緑地の方は初代オリンピック・ストリート女王、西矢椛ゆかりの地だ。かつては駐車場か何かだったのだろうか。緑地内には木製のセクションが雑に配置された手作り感満載のスケートパークがあり、気が向けば誰でもここでスケボーなり、BMXなりを楽しむことができる。
くたびれたアスファルトの路面はガタガタだし、ランプには穴が空いていたりするけれど、それはそれでいい雰囲気を出している。何より入場無料なのが最大の魅力だ。常に厳しい視線に晒されるスケボー難民にとってはとてもありがたい場所である。
6歳でスケボーを始めた西矢椛は当初、隣町の松原からこの大泉緑地内にあるスケートパークに通って技を磨いていた。ベタな言い方をすれば、この公園から金メダルへの道が始まったわけである。
「スケボー禁止!」「スケボー禁止!」
もう一つの原池公園、ここは初代パーク女王、四十住さくらゆかりの場所である。阪和自動車道の高架下に作られたスケートパークには近未来的な雰囲気が漂っていて、なかなかフォトジェニックな空間である。パーク内にはコンクリート製のボウルがあり、ストリートからパークへと主戦場を移した四十住さくらは、一時期岩出市からここに通って練習していた。
今発売中の雑誌Numberに掲載されている記事の中で、ページ数の関係で書ききれなかった原池公園について少し詳しく書こう。