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1部復帰を目指すシャルケで早くも不可欠な存在に ブンデス初挑戦の板倉滉の“判断力”と落ち着きがすごい
posted2021/10/23 17:01
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
これまでブンデスリーガで注目を集めてきたハノーファー対シャルケというカードが、今シーズンは2部で行われることに、今でも少し違和感がある。
築き上げたひとつの時代は、永遠には続かない。崩れるときはアッという間だ。ELでも躍進したことがあるハノーファーは、2部リーグが3シーズン目。CLの常連だったはずのシャルケは、昨シーズン30年ぶりに2部降格を余儀なくされた。
しかし、2部とはいえシャルケ戦ともなればファンの注目度は高い。僕も、久しぶりにハノーファーのホームスタジアム『AWDアレナ』を訪れた。
板倉のスタメン起用後シャルケは4勝1敗
「Geimpft:ワクチン接種証明」か「Genesen:感染回復済証明」を持参したファンのみが観戦できる2G規則を導入したことで、この日は4万2500人までの集客許可がおりていた。スタジアムを埋め尽くすファンの姿。大声で合唱されるチームソング。結局3万9500人が詰めかけたスタジアムは、熱気に包まれていた。
シャルケのファンは推定1万人。これほどのアウェーファンがスタジアムに集うのは、いつ以来だろうか。
「シャルケーヌルフィアー(シャルケ04)」というお馴染みの応援ソングに対し、すかさずハノーファーサイドから「シャ〇セー(くそ)ヌルフィアー」という小馬鹿にした掛け声が鳴り響く光景に、懐かしさを覚えた。
今シーズンのシャルケの目標は、もちろん1年での1部復帰だ。チームの顔触れは2部降格とともに一新されて、若手を中心とした構成。そのせいか、ここまでの序盤戦は苦戦が続いた。ハンブルガーSVとの開幕戦を1-3で落とすと、第4節終了時で1勝1分2敗の13位。特に問題視されていたのが、8失点の守備だった。
そんなシャルケは、第5節デュッセルドルフ戦に3-1で勝利すると、そこからの5試合を4勝1敗とし、リズムに乗ることに成功している。好転の要因のひとつが、最終ラインを統率する板倉滉の活躍なのは間違いない。前述のデュッセルドルフ戦から連続でスタメン起用されているが、その間の失点はわずか3。うち4試合でクリーンシートを記録している。