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《ドラフト》「語学留学しようと」野球をやめる覚悟のスラッガーは、なぜ<中日6位>に指名された? スカウトが明かす決断の理由 

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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posted2021/10/22 17:03

《ドラフト》「語学留学しようと」野球をやめる覚悟のスラッガーは、なぜ<中日6位>に指名された? スカウトが明かす決断の理由<Number Web> photograph by Fumi Sawai

中日ドラゴンズに6位指名を受けた福元悠真(大商大)。ケガに泣かされたが、持ち前のパワーと人間性が高く評価された

 昨秋のリーグ戦を終えると、福元はとにかく追い込んだ。12月23日にチームが全体練習を打ち上げ年末年始休暇に入っても、大学の施設に1人残った。31日からわずか3日間の休みを経て、年明けの1月3日から1人でグラウンドに顔を出し、黙々と汗を流した。

「自分がチームを抜けると周りに迷惑を掛けてしまうし、来年がラストイヤーになるので4年生になったら春も秋も全試合に出て、良い状態で試合に臨みたかったんです」

 たが、4年生のシーズンになっても状況は一向に良くならない。リーグ戦では右太ももをテーピングテープで何重にも巻いていた。NPBスカウトが視察に訪れるも、指名打者での出場が続いた。守備でのアピールができなかったが、首脳陣の「無理をさせないように」との判断からだった。

 だが、ベストパフォーマンスができない福元を見て、チェックリストから外すことをほのめかすNPBスカウトもいた。

「指名されなかったら、野球を辞める」

 そんなある日。いよいよドラフトが近づいてきた頃、福元からこんなメッセージが届いた。

「自分は、もし(ドラフト会議で)指名されなかったら、野球を辞めようと思っています」

 あれだけ野球一筋で生きてきた21歳が、“辞める”というフレーズを発するほどケガの状態が良くないのか。心がざわついた。そしてドラフト会議当日の10月11日。会見場で着席し、じっと“その時”を待ったが、福元は当時の心境をこう振り返る。

「正直、自分はもうプロは厳しいと思っていました。(指名されない)覚悟もしていたので、当日はドキドキというよりも“早く始まって欲しいけれど来てほしくない”という複雑な気持ちでした。ドラフトの1週間くらい前から、眠れなかったり食欲もなくなったり…。会見場も本当は(設定する)予定がなかったんですけれど、急きょ設けられて。ただ、当日までと、当日、あの場で待っている間は苦しかったですね」

 そんな重たい心境の中、中日ドラゴンズにとって最後の指名となった「6位」で福元の名前が呼ばれた。

 だが、ホッとしたのと同時に“これからが本当の勝負だ”と自分に言い聞かせた。

「指名されたことは嬉しかったです。でも、指名されて終わりではなくて、むしろここからが本当の戦いだと、逆に気合いが入りました」

【次ページ】 「経営者を目指そうと思っていた」

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