〈阪神ドラフト2位〉4年前の“プロ断念”、大学リーグ戦は途中棄権… 174cm左腕・鈴木勇斗（21歳）、会見での涙のワケ

　5秒…10秒…15秒。

　静かに時が流れていた。

「プロになってからどんな選手になりたいか？」

　指名後の会見で、そう問われた創価大学の鈴木勇斗は、感極まり、一瞬、言葉を詰まらせた。

　約25秒の沈黙を経て、鈴木はこう言葉を紡いだ。

「（プロは）とてもレベルが高い場所なので、一日でもはやくプロの打者に通用するような投手になっていきたいし、自分が投げている姿を見てくれるファンの方々やチームに良い影響を与えられる投手になっていきたいと思います」

4年前、志望届提出を見送り

　鈴木が声を詰まらせた理由――。それは4年前の高校時代まで遡る。

　当時、鹿屋中央高（鹿児島）の主戦投手だった鈴木は、県内屈指の左腕として知られていた。高校3年夏の県大会準々決勝では、第3シードの鹿児島城西高と対戦して3安打完封勝利。鈴木とともに注目を集めていた石川慎貴（現・九州共立大）との投げ合いを制して、ノーシードだった鹿屋中央高をベスト4へと導いた。

　しかし、その秋のプロ野球ドラフト会議では、志望届の提出を見送った。

　プロに進みたい気持ちがあったものの、完封した鹿児島城西高戦では立ち上がりに5つの四死球を献上。制球難などの課題を突き付けられたことで4年後のプロ入りを目指すことになった。

　創価大学の堀内尊法（たかのり）監督は、鈴木についてこう語る。

「初めて会ったときは身体が小さいなって感じだったんですけど、彼は性格面で求道心がすごくある子でした。『良いものは良い』と判断できたり、指導者（の言葉）だったり、本を読んだりして、自分で考えながら色々と吸収できる子です。それが（大学4年間で）伸びた一番の理由かなと思います」

元カープ黒田と同じ「座右の銘」

　高校時代から趣味で続けている読書のためか、大人でも顔負けの知性を披露することもある。

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