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原晋監督は「全日本の本命も東京国際大ですよ」箱根駅伝まで3カ月、今季の青学大“逆襲”の予感はあるか《出雲駅伝2位》
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNanae Suzuki
posted2021/10/11 17:02
10月10日の出雲駅伝で青学大は2位だった。写真は4位→2位に順位を上げたアンカーの横田俊吾(3年)
「出雲で分かったけど、全日本の本命も東京国際大ですよ。今回はメンバー表を見た時に、前半で流れを作れれば、“ワンチャン”あるなと思ってたんです。でも、1区が終わった時点で東京国際大が好位置にいて、その時点で白旗(笑)。3区の丹所(健)君でダメ押しをされました。アンカーのヴィンセント君にタスキが渡る時点で前を走られてちゃ、勝負にならないよね。全日本でもこの構図は変わらないんじゃないかな」
原監督は淡々と語るが、どうやら今季の駅伝の主役は東京国際大になりそうな気配だ。
出雲で3位に入った東洋大の酒井俊幸監督も「東京国際さんは強いですよ」と話す。
「今回、5区が終わった時点でトップだったということは、もうヴィンセント君頼みのチームから脱却して、日本人の選手たちが区間上位で走れることを証明したということです。この感じだと、8人で走る全日本でも主導権を握るでしょうね」
さらに酒井監督は今季だけでなく、来季こそ東京国際大が力を伸ばしてくるだろうと予測する。
「出雲の6人のメンバーを見てください。4年生はひとりもいないんですよ。3年生が4人で、1年生が2人。つまり、来年はもっと強いってことです。いまのうちに止めておかないといけません」
どうやら、全日本も東京国際大が主役になりそうだが、出雲の2位から6位までの学校、青山学院、東洋、國學院、駒澤、早稲田もそれぞれ見せ場を作っている。区間ごとの凸凹があり、タスキがうまく流れなかったわけで、全日本で展開がハマればレースを盛り上げてくれるだろう。出雲同様、出入りの激しいレースになるのではないか。
一般の観客の立ち入りが禁止されたゴール地点での出雲ドームでは、自信を深めた選手と、落胆した選手たちが交錯していた。分かりやすく、肩を落としている選手もいる。
喜びと失意。
今年も駅伝の季節が始まった。
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