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「お前ら、どんだけだらしない生活してたんだよ!」箱根駅伝未経験の理系大学に“出場請負監督”がやってきた! 学生は「箱根? 本気で?」
posted2025/09/18 11:06
今年4月から芝浦工大の駅伝部監督に就任した徳本一善。前任の駿河台大を2度の箱根出場に導いた名将を驚かせた学生たちの実態とは……
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph by
Ichisei Hiramatsu
「おまえら、昨シーズン、どんだけ練習せず、どんだけ好きなもん喰って、どんだけだらしない生活をしていたんだよ!!」
この春から徳本一善監督が芝浦工大駅伝部の指導を始めて、3カ月後だった。
全選手の体重を測定すると平均で約4キロ、最高で8キロのウエイト減という数字を見た時、徳本監督は思わず、そう声を上げたという。
冷めた態度の学生たち
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芝浦工大駅伝部(当時、陸上競技部 駅伝ブロック)は2011年に設立され、2012年に箱根駅伝予選会に初めて出場したが、まだ一度も予選会を突破できていない。予選会での最高順位は2022年の20位、関東学生連合チームの一員として箱根を走った選手は過去3名。
7年前にスタートした芝浦工大の「駅伝プロジェクト」でグラウンドと寮が完成し、環境的には申し分ない。悲願を達成するために今季、徳本が駅伝監督に招聘されたのである。だが、最初に学生と対面して感じたのは、自身や大学の本気度とは裏腹な彼らの冷めた態度だった。
「箱根駅伝? 本気で? みたいな感じで『やるぞ』みたいな空気はまったくなかった」
そのため、学生たちの「やる気」を最初に確かめる必要があった。
覚悟を持って箱根に挑んでもらうために
「監督が代わって俺が来たのは、箱根駅伝に出るため。箱根を目指して本気でやるのかって聞くと、みんな黙っているんですよ。そこで自分の方針を伝えて、その上で駅伝部に残る選択をした以上は、やってもらうから覚悟してくれって言いました。学生たちは、みんな戸惑っていましたね。どこまで覚悟しているのか分からない。どちらかというと今までのラクな生活環境を守りたいというのが見え隠れしていました」
徳本監督は、学生に覚悟を持って箱根に臨んでもらうために門限等の寮則を決めるなど、生活面を整えることから着手した。学生の表情には不満気な影が見えたが、一番衝撃を与えたのは、大学のサポート体制の見直しだった。

