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1シーズンで約250億円損失のチームも… 欧州30クラブの「収支ランキング」で見る“深刻すぎる”実態<バルサの負債総額は約1750億円>
posted2021/09/15 06:00
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フランス・フットボール誌France Football
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L’Équipe
コロナ禍が引き起こしたもの、あるいは明らかにしたもののひとつに、サッカーの世界的な財政悪化がある。コロナはサッカーを窮地に追い込み混乱に陥れた。すべてが不確かとなっただけでなく、クラブの収支にも大きな影響を及ぼした。
では、その実態はどうなのか。『フランス・フットボール』誌5月18日号でフィリップ・オクレール記者がレポートしているのは、ヨーロッパのビッグクラブのバランスシートがどうなっているかである。収支ベースでクラブを評価したときに、売り上げベースで格付けしたデロイト社のフットボールマネーリーグが公表したリストとはまったく異なる、ビッグクラブの現実が見えてくる。
彼らがスーパーリーグを突然立ち上げ、すぐに開始しようとしたがった理由もよくわかる(2021年4月に12のクラブにより設立され、20のクラブによるリーグ戦をおこなってCLに替わる新たなヨーロッパNo1を決める大会の立ち上げを目指したが、各方面から強い反対をうけ発表からわずか3日で中止を表明した)。
(各データは『フランス・フットボール』誌掲載当時のままです)
(田村修一)
ヨーロッパサッカー界の損失は20億ユーロ
コロナ禍がこれまでにヨーロッパサッカーに及ぼした影響、これからさらに及ぼすであろう影響を誰も正確に評価できない。流行がいつ収まるかわからない状況では、正確な予測をおこなう術を誰も持ち得ないからである。唯一、それなりの信憑性を持つのが、ロンドンで創設され世界中に支部を持つ会計事務所デロイトが、4カ月前に発表したものである。それによればヨーロッパサッカー界における損失は、この2年間で20億ユーロ(約2600億円)に達するという。他方でユベントス会長のアンドレア・アニェリは、同時期の損失額を36億ユーロと見なしているが、算出方法を明らかにしてはいない。
留意すべきはデロイトが損失を算定したのは5大リーグに限ってであり、しかもコロナの影響が出始めたのは最後の4カ月に限られる2019~20年シーズンである。それでも損失額は20億ユーロにのぼる。コロナによるすべての損失総額が、それを大きく上回るのは間違いない。スポンサーもテレビ局も、サッカーに資金を投下する費用対効果を早晩再計算せざるを得ない。