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1シーズンで約250億円損失のチームも… 欧州30クラブの「収支ランキング」で見る“深刻すぎる”実態<バルサの負債総額は約1750億円> 

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posted2021/09/15 06:00

1シーズンで約250億円損失のチームも… 欧州30クラブの「収支ランキング」で見る“深刻すぎる”実態<バルサの負債総額は約1750億円><Number Web> photograph by L’Équipe

ラポルタ新会長によれば、バルセロナの負債総額は13億5000万ユーロ(約1750億円)にも及ぶという。メッシの放出は財務改善につながるのだろうか

 いったい誰が結末を知り得るのか? 不確かさから不安に駆られたプレミアリーグは、2022~2024年のテレビ放映権料を前時期の金額をベースに算定し、新たな契約が劇的に値下がることを防ごうとしている。リーグはそのために英国政府に対し、国内で《私的な》売却をおこなうための法律を制定し、入札の免除を要求している。だが、プレミアリーグをはじめFAカップやCL、ブンデスリーガ、リーグアンも現在放映しているBTグループは、スポーツ部門の譲渡準備を進めていることを先ごろ明らかにした。イギリスがそうなった場合、他の国々はいったいどうするのだろうか……。

 次に語るべきは、世界で最もリッチなクラブ――もちろん彼らが今もリッチである限りにおいてだが――についてである。デロイトが2001年から毎年1月に発表している世界の金持ちクラブの上位30をランク付けしたフットボールマネーリーグは、世界中のメディアから《フットボール・リッチリスト》の名で呼ばれている。

 第1位のバルセロナは2019~20年の売り上げが、レアル・マドリーが2008~09年シーズンに達成した売り上げの2倍に達している。だがこの総売り上げは、偽りの数字と言わざるを得ない。バルサの負債総額は11億7000万ユーロに及ぶ。名目上は19~20年も世界一の金持ちクラブの地位を保ったものの、スポーツ面の成果はまったくのゼロであるうえに財政面も実態は青息吐息であり、デロイトの示す数字が現実を反映していないからである。2018~19年には1700万ユーロの黒字を計上したバルサは、次のシーズンではおよそ1億ユーロの損失を被ったのだった(註:バルセロナの新会長に就任したジョアン・ラポルタがこの8月に明らかにしたところによれば、現在のバルサの負債総額は13億5000万ユーロ<約1750億円>に達するという)。

本当にリッチなクラブはどこか

 一方、《高潔なクラブ》の誉れ高いアヤックスは、コロナ禍によりオランダリーグが打ち切りとなった影響を受け、売り上げベースでは前シーズンの4分の1に相当する4500万ユーロの減少を示した。だが、それが壊滅的な打撃かといえばそうではない。というのもアヤックスは、19~20年にも2040万ユーロの黒字を計上しているからである。

 FF誌はデロイトのランキングでトップ30に入ったクラブを、売上高ではなく利益と損失の差額を計算することで、独自のランキングを作成した。そこから浮かび上がるのは、本当のリッチとは何かという素朴な疑問である。

【次ページ】 スーパーリーグ参加表明クラブの実態

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