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1シーズンで約250億円損失のチームも… 欧州30クラブの「収支ランキング」で見る“深刻すぎる”実態<バルサの負債総額は約1750億円>
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フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/09/15 06:00
ラポルタ新会長によれば、バルセロナの負債総額は13億5000万ユーロ(約1750億円)にも及ぶという。メッシの放出は財務改善につながるのだろうか
多大な損失を計上していても、リッチであるといえるのか……。30のうち20のクラブが赤字を示し、そのうちの9つ――マンチェスター・ユナイテッドとリバプール、アーセナル、トッテナム、ユベントス、バルセロナ、インテル・ミラノ、マンチェスター・シティ、ACミラン――がスーパーリーグ創設に参加した。彼らの赤字額はあわせて8億3800万ユーロに達する。
また同じくスーパーリーグに加わったレアル・マドリーとアトレチコ・マドリーも、黒字とはいえ合わせて210万ユーロを計上しているに過ぎない。スーパーリーグ勢のなかではただひとつチェルシーだけが、3250万ユーロの黒字となっているが、そのほとんどすべてがエデン・アザールを2019年6月にレアル・マドリーに売却したことによって得た利益である。
スーパーリーグ参加表明クラブの実態
巨額の入会金を設定したスーパーリーグ創設に奔走したクラブの実態がこうであったとは驚きを禁じ得ない。そのなかではイタリアの3つのクラブが最も深刻である。ユーベとインテル、ミランが揃って赤字を計上するのは3シーズン連続であり、ユベントスは17~18年の6710万ユーロ、18~19年の2020万ユーロに続き19~20年は8970万ユーロを計上し、インテルは同じ時期にそれぞれ180万ユーロ、4840万ユーロ、1億240万ユーロの赤字を出している。
だが両者とも、クラブの存続それ自体が疑われるミランの惨状には遠く及ばない。ミランの3シーズンの負債総額は4億8610万ユーロに達し、うち1億9460万ユーロ(約250億円)が19~20年シーズンのものである。総売り上げは前シーズンから4600万ユーロしか減少していないのだから、いかに大きな損失を被ったかがわかる。
もちろんスーパーリーグに参加したクラブの実情をすべて同列には論じられない。だが、どこも収入は劇的に減少し、出費――特に選手のサラリー――はほとんど減っていない。過去2シーズンあわせて2億ユーロ以上の利益をあげたトッテナムも、19~20年はスタジアムの改修で7280万ユーロの赤字となった。同様にリバプールも、1年で4800万ユーロの黒字から5300万ユーロの赤字に転じた。先ごろレッズの幹部が、クラブ株式の10%を投資会社のレッドバード・キャピタルに売却した理由もよく理解できる。オーナーのジョン・W・ヘンリーと彼の会社であるフェンウェイ・スポーツグループが、スーパーリーグの高額参入金に目をつぶり、プロジェクトへの投資を決めたのかもしれない。