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冨安健洋の器用さは“泥沼”アーセナルの救世主に? 水沼貴史が期待するプレミア勢とのマッチアップとは
posted2021/09/10 17:00
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph by
Getty Images
移籍市場の期限が迫った8月31日、冨安健洋がアーセナル加入を発表しました。アビスパ福岡からシント・トロイデン(ベルギー)、ボローニャ(イタリア)と着実にステップアップを遂げ、今や国内でトップレベルのDFに成長した冨安が、一流プレーヤーが揃うプレミアリーグの舞台に挑戦します。吉田麻也がサウサンプトンに移籍した時もそうでしたが、22歳という“選手キャリア”の一番いい時期を最高の舞台で迎えることはとても羨ましい。大きな決断だと思います。
たた、現在のアーセナルは苦しいチーム状況に置かれています。昇格組のブレンドフォードとの開幕戦では気迫あふれるサッカーに圧倒され、その後はチェルシー、マンチェスター・シティを前に完敗。気になるのは得点を奪えていないことだけでなく、3試合いずれも複数失点をしているところ。
第1節)ブレンドフォート 0-2●
第2節)チェルシー 0-2●
第3節)マンチェスター・シティ 0-5●
※9月10日時点で最下位
アルテタ監督の更迭も近い?
このうち2試合の解説を担当しましたが、私が見ている印象だと、全体的に「強度」が足りていない。ケガ人や攻撃の軸であるオーバメヤンやラカゼットらのコンディション不良など、ベストメンバーを組めない難しさはあったと思いますが、守備面でのプレスが緩く、ゴールに向かっていく迫力やパワーも見られなかったのはとても残念でした。
また、気がかりなのは成績不振によって揺れ動くアルテタ監督の去就でしょう。彼が冨安獲得にどこまで関わったのかは定かではありませんが、マンチェスター・ユナイテッドに加入した当時の香川真司のように、監督が変わることでチームの方針がガラッと変わる可能性も秘めています。当然、冨安本人もそれを承知の上での決断だったと思いますが、移籍というものは常にリスクがつきまとうものです。