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謙虚な20歳GK谷晃生が明かす、“五輪→A代表への率直な思い”「ちょっと分かりづらくて申し訳ないんですけど…」
posted2021/08/31 17:01
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
口にした本人も恐縮する微妙な表現に、谷晃生の率直な思いが表れていた。
「こうして選んでいただいたことを本当に誇りに思いますし、より大きな責任感を持ってやっていかないといけないと感じています。このタイミングで選ばれることに関しては、びっくりもしていないし、そろそろかなと思ってもいなかったという感じです。ちょっと分かりづらくて申し訳ないんですけど……」
20歳で初選出を「分かりづらい心持ち」で迎えて
9月2日に開幕するカタールW杯アジア最終予選に、東京五輪で評価をあげた20歳の守護神が参戦する。U-24日本代表からは中山雄太、冨安健洋、板倉滉、堂安律、久保建英の5人も選ばれているが、初選出は谷ひとりだ。
「もちろんA代表をひとつの目標として、ずっとやってきました。サッカーをやっていれば、誰もが目ざすところかなと思いますし、素直に嬉しいです。直前に東京五輪という舞台があったなかで、自分が試合に出場させてもらい、オリンピックが終わったあとは代表の舞台はA代表しかない、ということも考えていましたが……」
日本代表のGKの枠は3つしかなく、森保一監督のもとでは川島永嗣、権田修一、シュミット・ダニエル、中村航輔らが競争を繰り広げてきた。3月には経験豊富な西川周作も選ばれている。東京五輪を経て「自分も」という思いを谷が膨らませていたとしても、招集されるには何人かの選手をまとめて追い抜かなければならない。「分かりづらい」心持ちで8月26日の代表メンバー発表を迎えたのは、むしろ当然だっただろう。
東京五輪“背番号12”がチームを勢いに乗せた
谷自身の思いはともかく、周囲の評価は「そろそろ」に傾いていたはずだ。東京五輪では全6試合にフル出場し、印象的なプレーを披露した。人々の記憶に色濃いのはニュージーランドとの準々決勝のPK戦かもしれないが、南アフリカとのグループリーグ初戦を無失点で切り抜け、続くメキシコ戦で終盤の危機を救ったセーブも、実は大きな価値を持っている。背番号12を着けたGKは、チームを勢いに乗せたのだった。