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<侍ジャパン>ルーキー伊藤&栗林が躍動! 韓国戦“勝利の流れ”を作ったリリーフ陣…オールプロ“3度目の挑戦”で悲願の金メダルへ
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2021/08/05 11:25
韓国からのクレームにも動じず、堂々のピッチングを披露した伊藤大海
このルーキーらしからぬ強心臓で2死から四球で走者を出したものの、2番の指名打者、カン・べクホ外野手には外角の真っ直ぐをズバッと決めて見逃し三振に仕留めた。
そして回またぎとなった8回も再び2死から二塁打で走者を出したが、後続をきっちり二ゴロに打ち取って危なげなく2イニングを0点に抑えた。そして直後に飛び出したのが山田の3点二塁打だった。
プレミア12も「リリーフ投手で勝ったようなもの」(稲葉監督)
試合を作ったのは先発の山本だったが、勝負の流れを作ったのは明らかにこの伊藤の好投があった。
「あの時も結局、リリーフ投手で勝ったようなものですから」
五輪開幕を前にこう稲葉篤紀監督が振り返ったのは世界一に輝いた2019年の「プレミア12」の戦いだった。
全8試合で延べ登板投手は45人。1試合平均で5.6投手を注ぎ込む継投策で世界のチームを打ち破った。中でも中継ぎとしてフル回転したのが山本と今回は代表入りを逃した甲斐野央投手。山本が5試合、甲斐野が5試合に登板して、2人合わせた失点はわずかに1点だけという完璧なピッチングで日本の流れを作り出した。
だからこそ東京五輪に向けたチーム編成でも、指揮官が重要視したのがリリーフ陣のメンバーだったのである。
伊藤は学生時代に海外チームと対戦経験がある
しかし当初の予定から中川皓太投手が故障で参加を辞退。そこで所属の日本ハムでは先発ローテーションの一角を支えているものの、球の力と学生時代の代表チームでの海外チームとの対戦経験を買ってその代役に指名したのが伊藤だったのである。
「初球の大切さは先発以上に感じる部分もありますし、先発でのワンヒット、一個のフォアボールが(リリーフでは)すごく重くなっていく。きょうはフォアボールもヒットも許しているので、そういう部分は反省点かなと思います」