1つの方法として考えられるのは鈴木の打順を6番に下げて、5番の浅村と6番の柳田悠岐外野手の打順を1つずつ上げるという選択だ。

「（もはや鈴木の）打ち待ちっていうのは通用しないと思う」

　そしてもう1つは思いきって鈴木を1度、先発オーダーから外して違う選手を使うという選択もある。

　候補としてはプレミア12でも4割以上の出塁率を誇り選球眼のいい近藤健介外野手（日本ハム）の起用だろう。近藤を使うなら2番に入れて山田と坂本で挟むというオプションがまず考えられる。また金子コーチが指摘するように山田と坂本の並びを崩さないのであれば近藤を1番に入れて、山田、坂本を2、3番に入れる。そこから吉田正尚外野手（オリックス）に浅村、柳田という並びを作れば打線のつながり、破壊力という点でもかなり有力な選択肢となるだろう。

　ノックアウトステージ初戦、準々決勝の相手は米国に決まった。メジャーリーガーの参加はなくとも、イスラエルと韓国を力でねじ伏せてB組1位でオープニングラウンドを突破してきた。個々の選手の能力は下馬評以上に高く、チームとしてもしっかり機能できているだけに、金メダルへの最大の難敵になるのは確かだ。

「（もはや鈴木の）打ち待ちっていうのは通用しないと思うんですよね」

　ノックアウトステージに向けて、こう語ったのは金子コーチだ。

　大会前のインタビューで稲葉監督はフレックスな選手起用についてこんな話をしていた。

稲葉監督の決断は？　(C)Masaki Fujioka/JMPA

「あんまり色々なことを決め過ぎると、どんどん自分の首を絞めてしまう。チームとしても厳しくなってしまいます。だから4番も決めない。エースも決めない、抑えも決めない。1試合の中の順応性とか、そういうことでやっていく」

　鈴木の4番を継続することを含めて、様々な選択肢があり、正解はないのかもしれない。ただ、それでも決断をしなければならないときが迫っている。そしてその決断が金メダルへの道を決める大きな分かれ目となるのかもしれない。