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<侍ジャパン>どうする“4番・鈴木誠也ノーヒット問題”…「打ち待ちっていうのは通用しないと思う」(金子コーチ)
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byMasaki Fujioka/JMPA
posted2021/08/01 12:10
2戦を終え、いまだヒットが出ていない4番・鈴木誠也。稲葉監督はノックアウトステージに向け、何らかの決断を下すのだろうか
打線も2本の本塁打にはもちろん価値があったが、2回の同点劇は安打にランエンドヒットなど機動力を絡めた攻撃で、3回の勝ち越し点も坂本の思いきった決断力と好走塁が生み出したもの。この試合では山田の2盗塁など合わせて4盗塁も決めて、稲葉監督が攻撃陣に掲げる「スピード&パワー」がしっかり発揮されての勝利だった。
再チェックしなければならない課題も炙り出された
投手陣がしっかり抑えて、打線はつながりで点を奪っていく。日本の目指す野球がしっかりできての1位突破は、勝負のノックアウトステージへと弾みをつけるものとなったはずだ。
ただ、それと同時に次の戦いに向けて、再チェックしなければならない課題も炙り出されてきている。
それは中軸、特に4番を任されている鈴木誠也外野手(広島)の処遇をどうするかという問題だ。
今年の鈴木はメジャー移籍を視野に入れて、キャンプからさらなる進化を求めた新しい打撃に挑戦してきた。しかし実際問題としてはそれが裏目に出た形で、開幕から長く本来の打撃ができないままに低空飛行が続いてきた。
東京五輪を前にようやく少しずつ状態が上がってきているように見えてもいたが、7月19日から始まった直前合宿ではやはり本来の鋭い打撃が影を潜めてしまっていた。そうして楽天、巨人との大会直前の強化試合でも8打数1安打3三振と結果が出ないままに、本番を迎えることとなった。
そんな鈴木を「4番」で起用した稲葉監督の頭には、もちろん本番突入をきっかけに、打撃が変化するのではという期待があったのは確かだろう。
「周りが凄い選手ばかりなので、僕が打たなくても……」
しかしその期待と裏腹に、オープニングラウンド2試合では8打数でノーヒット。出塁できたのはこの日のメキシコ戦の第4打席で選んだ四球の1つだけだった。