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「オフにはジェッツの試合を観戦」「3Pに身体をぶつけて祝福」日本代表を牽引する富樫勇樹と渡邊雄太の“固い絆”
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2021/07/28 20:00
オリンピック初戦のスペイン戦にて、途中出場ながら存在感を発揮した富樫勇樹
以前、富樫にたずねたことがある。
NBAの選手をBリーグの試合に招待するのを恥ずかしく思ったり、気が引けたりすることはないのでしょうか、と。
答えはこうだった。
「そう思ったことはないです。もちろんNBAが世界最高の舞台なのは知っています。でも、(渡邊)雄太は今までの日本のリーグのレベルとか雰囲気も知っていると思うし、日本のBリーグが盛り上がってくれていることを確実に喜んでくれているので。だから、彼が『応援に来たい』と言ってくれる限りいつでも招待したいと思っているんです」
勝利のカギは、Bリーグプレイヤーの“底力”
もちろん、富樫だけではない。富樫と並んでBリーグ開幕から5年連続でベスト5に選ばれ、昨シーズンのBリーグMVPに輝いた金丸晃輔も、スペイン戦で出場してから1分10秒間で2本の3Pを含む8得点の活躍を見せた。
王者相手に最後まで食らいつけた要因の一つは、少ないチャンスをモノにすることを求められるBリーグの選手たちの奮闘があったから。まさに富樫が予見していた通りの展開だった。そして、その原動力は、Bリーグでプレーする代表選手について語るときに「国内で頑張ってくれている選手」と形容するキャプテンの渡邊のような、Bリーガーの力を信じる選手がいたことにある。
思い出すのは5戦全敗に終わった2年前のW杯だ。あの大会では八村を中心とする選手に頼りすぎていた。その結果、本大会では徹底して日本のスカウティングをしてきた相手に、八村らの良さは消され、金星の可能性を口にすることなどできなかった。
でも、今は違う。
グループリーグの残り2試合であたるアルゼンチンとスロベニアは、世界王者スペインよりは少し力が劣ると見られているが、間違いなく日本よりポテンシャルは高い。日本の狙いが全て上手くはまり、全ての選手が持っている力を限界まで出し切ってようやく勝てるという事実に変わりはない。
ただ、そこに胸を張って向かっていく資格が日本にはあると内外に証明した。それが45年ぶりの舞台に立った日本代表の初戦の意義だったのだ。