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〈侍ジャパン戦力分析〉左腕の少なさ+千賀滉大と大野雄大は気がかり、野手は充実… “ガチガチの本命”という重圧を跳ねのけられるか
posted2021/07/28 06:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
侍ジャパンの稲葉篤紀監督は本当に苦労したはずだ。そもそも東京五輪そのものがあるのかないのかわからなかったし、ここ2年、NPBのペナントレースも極めてイレギュラーな形で行われたからだ。そんな中でチームを編成したことに敬意を表したい。
東京オリンピックへの出場は、開催国特権で最初から決まっていた。しかし稲葉ジャパンはこのことに安住することなく、五輪予選を兼ねた2019年のプレミア12では、宿敵韓国を破って優勝を果たした。それでも挑戦者という侍ジャパンの立ち位置を明確にしたと言えよう。
7月に入って発表されたロースターを見ていこう。現在の所属チームと、今季前半の成績を入れている。全員がNPBの現役選手だ。
<監督>
稲葉篤紀/49歳(8月3日に誕生日)
稲葉監督は2017年の第4回WBC閉幕後に監督に就任、2021年の第5回WBCまで侍ジャパンを率いることになっていたが、第5回WBCは2023年に延期された。この東京五輪が侍ジャパンの監督として最後のキャリアになる可能性もあるだろう。
<投手> ※は左投手 ▲は2019年プレミア12の代表メンバー
青柳晃洋/27歳 阪神
14試8勝2敗0S 95.1回 率1.79
岩崎優/30歳 阪神
34試1勝3敗0S 30.1回 率3.56※
森下暢仁/23歳 広島
13試6勝4敗0S 90.1回 率2.29
伊藤大海/23歳 日本ハム
13試7勝4敗0S 81.2回 率2.42
山本由伸/22歳 オリックス▲
16試9勝5敗0S 113.2回 率1.82
田中将大/32歳 楽天
13試4勝5敗0S 85回 率2.86
山崎康晃/28歳 DeNA▲
39試3勝1敗0S 38回 率2.37
栗林良吏/25歳 広島
34試0勝1敗18S 33.2回 率0.53
千賀滉大/28歳 ソフトバンク▲※出場辞退
2試1勝1敗0S 8.1回 率10.80
大野雄大/32歳 中日▲
14試3勝7敗0S 90.1回 率3.59※
平良海馬/21歳 西武
41試1勝1敗11S 39.2回 率0.23
当初は巨人・菅野智之の名前もあった。しかしペナントレースで戦線離脱を繰り返す状態で辞退となった。そういう意味では今季、調子が上がらない千賀、大野の2投手が入っていることに引っ掛かりを感じる。日本を代表するエースなのはわかるが、無理をして投げて故障するリスクもあるだろう。
もう1つ気がかりなのは、左投手が岩崎と大野しかいない点か。他チームは先発救援合わせて4人くらいはいる。左の強打者に対する選択肢が狭まるように思える。